図1 Pat Gelsinger氏
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 米インテルは今年後半,新しいプロセッサ製品群「Penryn」を出荷する。最大の特徴は,x86系プロセッサとしては初めて45nmの製造プロセス・ルールを採用すること。さらに現在のCoreマイクロアーキテクチャを改良し機能を強化する。4月17日と18日に同社が開催している開発者会議「IDF」で明らかにした。

 Penrynについて説明したのは,インテルでSenior Vice Presidentを務めるPat Gelsinger氏(図1)。Penrynでは現行プロセッサの製造プロセス・ルールである65nmから45nmに微細化することで,ダイのサイズを縮小。これにより,トランジスタのスイッチング・スピードを20%向上。同時に,スイッチングに必要な電力を最大30%低減できるとしている。

 45nmへの微細化を実現するに当たって,Intelは高誘電率(High-k)絶縁膜と金属ゲート電極の両素材技術を開発し適用した。「45nmの実現には,素材の研究開発が大きく貢献した」(Gelsinger氏)。


図2 「Penryn」ファミリーのマイクロアーキテクチャ
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 Coreマイクロアーキテクチャに対して加えた主な改良点は次の通り。まず,L2キャッシュの容量を拡張。デュアルコア製品については6MB,クアッドコア製品については12MBに増やす。現行のプロセッサ製品ではデュアルコアが4MB,クアッドコアが8MBとなっている(図2)。

 また,内部で命令を実行する際の効率を高め,整数演算や浮動小数点演算の処理性能を向上させる。さらに,マルチメディア関係を強化した命令セット「SSE4」を実装する。仮想化支援機能についても改良を加え,仮想マシンの処理速度を向上させるという。

 ノート・パソコン向け製品では,消費電力の削減を狙った機能を追加する。まず,プロセッサのコアからキャッシュに至る主要な部分の電流を切り,アイドル時の電力消費を極力抑えられる機構を搭載する。また,シングルスレッドのアプリケーションを実行させているときに,使用しないコアの電源を切り,使用するコアの周波数を高めることで,処理性能を確保しつつ消費電力の増大を抑えられるようにする。


図3 Penrynファミリーのプロセッサ群
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 Penrynではサーバー向け,デスクトップ向け,ノート向けに合計6種類の製品を用意する(図3)。サーバーおよびワークステーション向け,そしてデスクトップ向け製品についてはデュアルコアとクアッドコア(四つのコア)の2種類を用意。ノート向けにはデュアルコアのみを用意する。クアッドコア製品は,プロセッサのパッケージに二つのダイを入れ込んだ形を採る。

 動作周波数は,サーバーおよびワークステーション向けの「Xeon」,そしてデスクトップ向けの「Core 2 Extreme」と「Core 2」シリーズについては,3GHz超としている。ノート版の「Core 2」については不明。XeonシリーズについてはFSB(フロントサイドバス)の速度を現行の最大1333MHzから最大1600MHzにまで引き上げる。


図4 Penrynは前世代のプロセッサに比べ最大4割程度性能が向上する見込み
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 消費電力(TDP)はXeonのクアッドコアが50W,80W,120W。デュアルコアが40W,65W,80W。デスクトップ向けのCore 2についてはクアッドコアが95Wと130W。デュアルコアが65W。現行のプロセッサと同等のレベルに抑えてある。Core 2のノート版については不明。

 その上でPenrynは前世代のプロセッサ群に比べて,最大で4割程度の性能改善が見込めるという(図4)。特にクライアント向けアプリケーションについてはSSE4の追加でゲームや動画処理の処理性能が向上。サーバー向けアプリケーションでは浮動小数点演算性能の強化により科学技術計算などHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)分野で大きく改善するとしている。

(高下 義弘=ITpro)

■変更履歴
Xeonシリーズについてさらに詳しい情報を追加しました [2007/04/18 18:00]