写真●インテルFellowであるAjay Bhatt氏
写真●インテルFellowであるAjay Bhatt氏
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 米インテルは4月16日に中国・北京で開催した記者向けの研究開発説明会で,次世代技術「Geneseo」の現状について触れた。Geneseoは既存の汎用バスであるPCI Expressを拡張するもので,コプロセッサを接続して科学技術計算に適したマシンを実現する,といった用途を想定している。2006年9月に開催された前回のIntel Developer Forum(IDF)で初めて具体的に触れたものだ(前回のIDFにおける関連記事)。

 GeneseoはインテルとIBMが共同で開発。PCIの規格団体PCI Special Interest Group(SIG)に採用を働きかけており,「2008年後半にはスペックが確定し,2009年から2010年の早い段階で実際の製品が登場する,というタイムラインを想定している」(インテルFellowであるAjay Bhatt氏=写真)。

 Bhatt氏が挙げたGeneseoの課題には,アプリケーション開発者側の負担を減らす方法や,OS側の変更を最小限にしながらも仮想化技術や省電力機構といったマシンの機能をコプロセッサから利用できるようにすることなどがある。また,Geneseoはサーバー,デスクトップ,ノート型など,広いプラットフォームで使われることを考慮しているという。

 Geneseoは米AMDが進めているコプロセッサ・プロジェクト「Torrenza」の対抗と目されている。GeneseoがPCI Expressベースであるのに対し,AMDのTorrenzaではAMDプロセッサのチップ間接続インタフェース「HyperTransport」を利用する(Torrenzaの関連記事)。Bhatt氏は「GeneseoがベースとするPCIバスの方が,プロセッサに直接接続する方法よりも業界に受け入れられやすい」と主張する。一方, AMDはすでに製品化に向けて具体的に動いており,2006年末に開催した記者会見ではTorrenzaについて2007年後半を目標に製品を発表すると言及している(関連記事)。

 インテルはGeneseoとは別に,将来のマルチコア・プロセッサの姿として,特定のコアが画像処理や暗号化など特定の役割を担うようになるという方向性も見せている。つまりインテルは,コプロセッサの役割を特定のコアに担わせる考え方と,Geneseoのようにプロセッサの外側に置く考え方の二つを提示していることになる。Bhatt氏は「Geneseoはあくまでプロセッサに追加するもの」とコメントし,コアに特定の機能を持たせる方向性とは別のものであることを示した。

■変更履歴
Torrenzaの状況について,より正確に表現するため,文面を一部変更しました [2007/04/17 15:17]

(高下 義弘=ITpro)