米Microsoftは,先ごろワシントン州で起きた「『Windows Vista Capable』認定ロゴの広告は詐欺」と主張する訴訟に巻き込まれた。The Seattle Timesが4月第1週に「MicrosoftはWindows Vista Capableに関する表現をネット上でひそかに変えた」と報道したのに対し,Microsoftは「変えていない」としている。さらに4月第2週,Microsoftの弁護士が「この問題は完全に誇張」と発言した。

 Microsoftの顧問弁護士で上級副社長でもあるBrad Smith氏は4月9日(米国時間),「一部の弁護士と法律事務所はそのような主張で訴訟を起こしたが,消費者の直面する問題は大して多くないと思う。われわれは提供した情報に満足している」と述べた。

 ある消費者が4月初めにワシントン州で,「Windows Vista Capable認定ロゴの付いたパソコンは,Windows Vistaの基本的な機能にしか対応していない。そのため,この広告は詐欺だ」と訴えた。なおMicrosoftが展開しているWindows Vistaの広告は,ほとんどがユーザー・インターフェース(UI)「Aero」や「Media Center」など,「Windows Vista Premium Ready」ロゴの付いた認定パソコンが必要となる高度な機能を宣伝している。

 訴状には,「Microsoftはおとり販売を行った。消費者に『Vista Capable』(Vistaを動かせる)パソコンを買うのだと思い込ませるが,実際に入手できるものは,『Vista』として宣伝された機能を搭載していない,必要最低限の機能しかないOSだ」とある。原告の担当弁護士は,この訴えを集団代表訴訟にすることと,損害賠償を求めている。

 Smith氏は「訴えに根拠がない」とする。「ほとんどのパソコンで,事実上すべての機能を備えるWindows Vista Home Premiumのようなバージョンが動く。Windows Vista Home Premiumなどが動かないパソコンでも,消費者にとって意味のある高度な主要機能を多く搭載したバージョンは動く」(同氏)

 この論争に加え,The Seattle Timesは4月第1週,「MicrosoftがWebサイトに掲載している『Windows Vista Capable』ロゴ・プログラムの表現をひそかに変えた」と報じた。しかしMicrosoftは,この報道を否定し,「われわれは何も変えていない」(Microsoftの広報担当者)と主張している。Microsoftによると,「The Seattle Timesは,Windows Vista Capableロゴ・プログラムに関する表現を,プレスリリースとWebサイトのあいだで比べていた」という。「問題のWebサイトは,Windows Vistaの販売開始にともなって時制を変えただけで,2006年のWindows Vista Capableロゴ・プログラム開始から変更していない」(Microsoft)

 Windows Vista発売に関するMicrosoftのプレスリリースは,Windows Vista Capableロゴ付きパソコンには「Windows Vistaを動かせる十分なパワーがある」としている。ところがMicrosoftのロゴ・プログラム解説Webサイトには,「Windows Vista Capableロゴ付きパソコンは,Aeroなどのハイエンド機能を動かせない場合がある」と書かれている。