[画像のクリックで拡大表示]

 Firebird日本ユーザー会は4月14日,オープンソースDBMS「Firebird」の日本で初となる本格的なカンファレンス「1st Firebird Japan Conference」を開催した。約200台のLinuxサーバーで稼動するネットワーク監視システムや,オープンソース介護ソフトなどでのFirebird採用事例の発表が行われた。またユーザー会が日本語化した最新版Firebird 2.0.1 日本語版が配布された。

 Firebirdは,Borlandが開発したInterbaseからオープンソース化されたデータベース管理システム。

 オーエスエスブロードネット 第二技術部 部長 保坂氏はネットワーク監視システム「OPEN ADMIN/STMシリーズ」での採用事例を発表した。以前はInterbaseを採用しており,そのオープンソース版であるFirebirdへ移行した。コストと,24時間365日の連続稼動に適していることが採用の理由だ。

 OPEN ADMIN/STMを採用しているケーブルTV大手のJ-COMでは約200台のLinuxサーバー上で,配下三十数局の双方向端末の状態を監視している。IBPhoenix社のレプリケーション・ツールIBReplicatorにより約200台のサーバー間でデータを非同期複製している。ほかにも愛知県豊田市のひまわりネットワーク,山梨県甲府市のNNS,東京都大田区の大田ケーブルネットワーク,千葉県松戸市のコアラテレビ,台湾のE-LANケーブルメディアなどで採用され,日本での市場シェアは約15%にのぼるという。

 日医総研のORCAサポートセンタ長 永島道夫氏は,日本医師会の主治医意見書・医師意見書・訪問看護指示書作成支援ソフト「医見書」と給付管理・介護報酬請求支援ソフト「給管鳥」を紹介した。日本医師会では「日医IT化宣言」に基づき,オープンソース・ソフトウエアをベースに医療機関のネットワーク整備を行う「ORCAプロジェクト」を進めている。日本医師会が販売していた「医見書」および「給管鳥」はORCAプロジェクトのもとでオープンソース化され,Firebirdが採用された。Firebirdを選択した理由は,オープンソースであること,組み込みデータベースエンジンに向いていること,Windows,Linux,MacOSのマルチプラットフォームで動作するという。アプリケーションはJavaで開発されている。

 アペックス システム開発部三浦修氏は,同社の「内覧KING」について発表した。ASPで提供されているマンション内覧会スケジュール管理システム。Linuxサーバー上でPHPで開発されており,カレンダーやタイムテーブル形式の画面でスケジュールを管理できる。すでに大型物件での採用実績があるという。

 モイネットシステム 代表取締役 高嶋晃氏は,同社が開発した調剤薬局向けシステム「ファーミー」を紹介した。会計から薬剤の在庫管理,薬暦管理,薬袋印字までカバーする。Delphiで開発されている。Firebirdの採用により,最小構成で80万円と価格対性能比の高いシステムが構築できたという。

 肇ソフトの近藤竹文氏は「工事台帳 for Firbird」を発表した。クライアント/サーバー型で発注書作成や会計,日報処理などの機能を持つ。DelphiでFirebirdを扱うためのよいコンポーネントがあることから採用したという。

 そのほか,Firebird日本ユーザー会理事の加藤大受氏によるFirebird 2.0の新機能解説,キムラデービー代表 木村明治氏による組み込みアプリケーション作成のためのFirebirdミドルウエアの紹介,OpenOffice.orgユーザー会 鎌滝雅久氏によるOpenOffice.org BaseとFirbirdを使ったデータベース・アプリケーション作成方法の解説,マースエンジニアリング 山田健一氏による,データ暗号化ツールTrueCryptの紹介などの講演が行なわれた。