写真1●5社が試作した健康管理システムの構成図
写真1●5社が試作した健康管理システムの構成図
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写真2●タニタ製の体重計で測定したデータを三菱電機エンジニアリング製のエアロバイクに転送して入力の手間を削減
写真2●タニタ製の体重計で測定したデータを三菱電機エンジニアリング製のエアロバイクに転送して入力の手間を削減
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 三菱電機エンジニアリングやタニタなど健康器具メーカー5社は4月12日,体重計や血圧計といった家庭用健康器具の測定データを一元管理する技術を共同開発したと発表した。機器間における身長・体重データの共有や,複数の測定データを総合的に分析した健康管理などが可能になる(写真1)。2007年夏ごろJIS規格化への道筋を付け,実用化に向けた製品開発を進める。

 発表したのは,三菱電機エンジニアリング,シチズン・システムズ,シャープ,タニタ,日立製作所の5社。「2003年度から新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け,基本的な仕様に1年強,札幌と大阪での実証実験とそれによる修正作業に2年弱,ユーザー・インタフェースの試作など実用化の検証に1年をかけた」(三菱電機エンジニアリング産業システム事業部長の松本圭二常務)という。

 今回発表した技術の核となるのは,体温計からエアロバイクまで幅広い機器に搭載する通信プロトコルである。異なるメーカーの健康器具間の測定データ・フォーマットを統一し,測定データを送受信するプロトコルを策定した。具体的には,機器が測定可能なデータの種類を管理サーバーに登録し,機器間の時刻管理をしながら測定データを送信する。TCP/IP上で動作し,物理層は問わない。

 発表会では,5社が試作した健康管理システムのデモを披露した。健康器具としては,多機能体重計をタニタ,血圧計をシチズン・システムズ,エアロバイクを三菱電機エンジニアリング,体圧測定マットを日立製作所が試作。それらの器具からBluetoothまたは特定省電力無線経由でデータを収集するゲートウエイ機器をシャープが試作した。デモではタニタ製の体重計で測定したデータを,ネットワークを介して三菱電機エンジニアリング製のエアロバイクに送信(写真2)。体重と運動量を総合的に分析の上,今後の目標運動量を表示してみせた。

国内外の標準化団体に提案

 同プロトコルは,日本工業標準調査会の標準仕様書(IETFやIEEEなどのドラフトに相当する)として2007年夏ごろに公開する予定。今後5社共同でJIS規格化を目指す。海外においても,IEEEのパーソナル・ヘルス・データ・ワーキンググループが策定中のIEEE11073の仕様案として提案中だ。

 なお健康器具の標準化を巡っては,米インテルが「デジタルヘルス」をかけ声に医療機関への採用を働きかけるなど,AV機器に次ぐ第2のホーム・ネットワーク向けキラー・アプリケーションとして主導権争いが起こっている。今回5社が策定した仕様については,「2006年7月に米国で仕様を発表した際に米インテルから反応があり,同社と若干のコミュニケーションはある」(三菱電機エンジニアリングの松本常務)という。

三菱電機エンジニアリングの発表資料
シャープの発表資料
日立製作所の発表資料