通信ベンチャーのアイピーモバイルへ出資し、筆頭株主となることを4月10日に決定した森トラストは本誌の取材にコメントした(関連記事)。森トラストは「アイピーモバイルの事業やサービスは社会から期待されているし、技術面から見ても将来性がある。広い意味で都市に価値をもたらすものとして投資を決めた」(広報室)と説明する。

 森トラストが今回の出資を単なる投資と見るのか、事業主体として主導権を握っていくのかは「今後、アイピーモバイルと話し合って決めていく。資金の払い込みもまだ実施していない」。森トラストは昨年夏に不動産だけでなく投資事業の強化も表明しており、「今回の案件もその方針に沿ったもの」(同)だと言う。

 もっとも、合計で16万4422株となる出資がスキーム通りに実行されれば、69.23%と7割弱もの株式を掌握。森トラストの方針がアイピーモバイルの事業を大きく左右することとなる。電波の割り当て決定から1年半が経過した現在でもアイピーモバイルが開局した基地局は7つ。森トラストには出資とともに、事業の舵取りが求められることとなる。