「一般発売から1カ月以上経過し,『Windows Vista』の販売に大した進展がみられない」という懸念がくすぶり続けるなか,小売業者から「Windows Vistaに対する需要は間違いなく強力」との報告があった。米Best Buyと米Circuit City Storesは,いずれも「消費者はWindows Vista搭載パソコンに強い興味を示している」とした。Best Buyは3月に売り上げを10%増やし,Circuit CityはWindows Vista搭載パソコンの発注台数を需要が上回ったという。

 もちろんBest BuyとCircuit Cityはこの数カ月間,異なる状況にあった。Best Buyの2007年第1四半期の利益は,パソコンとそのほかの電気製品の売り上げが増えた影響で,前年同期比18%増と大きく伸びた。それに対しCircuit Cityは苦闘している。2007年第1四半期は1220万ドルの赤字となり,経費削減のため優秀な販売員の解雇を実施した。Circuit Cityは「財政問題が直接影響し,結果的にWindows Vista搭載パソコンの在庫を十分確保できなかった」と認めた。

 Windows Vistaの成功は,今も分かりにくい面がある。Microsoftの発売後1カ月で2000万本という数字と,米国内の大手家電販売店が出した数字を合わせれば,Windows Vistaの販売は極めて好調らしい。ただしWindows Vistaは開発に5年もかかったことから,その間に累積した需要の効果を注目すべきだ。現在のパソコン市場の規模は,5年前の「Windows XP」発売当時より相当大きくなっているのだ。

 もっとも,2007年のパソコン出荷台数は2億5000万台以上と見込まれ,その大多数がWindows Vistaを搭載するだろう。いずれにせよ,しばらくしたらWindows Vistaが支配的なコンピュータ・プラットフォームになるのだろう。