ICTシステムが環境に与える影響を考えるときは,マイナス面とプラス面をトータルに見ることが必要
ICTシステムが環境に与える影響を考えるときは,マイナス面とプラス面をトータルに見ることが必要
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 総務省は,情報通信技術(ICT)活用による環境負荷削減を推進するため,企業向けのガイドブック「ICTを環境にやさしく活用するために」を4月6日に公表した。ICTの仕組みや技術,製品を導入する際に,どのような点に配慮すればいいかを「環境チェックリスト」として一覧表にまとめるなど,実用的な内容だ。

 ガイドブックでは,まず,ICTシステムを導入・運用・廃棄する際には,資源を消費するといった環境への「マイナスの影響」を抑え,人や物の移動量を削減するといった「プラスの効果」を高める工夫が必要との指針を示している。その上で,指針に沿った具体的な行動の目安として,「1.ICTの仕組み・技術を取り入れる」「2.ICT機器を選ぶ」の2つのチェックリストを作成した。

 「1.ICTの仕組み・技術」の方では,「物の消費」「電力・エネルギー消費」「人の移動」「物の移動」」「電力・エネルギー消費」「物の保管」「業務効率化」「廃棄物量」といった視点を挙げ,それらを削減できるかどうかを,導入の判断基準にすべきとしている。

 例えば,テレワークは「人の移動」「オフィススペースの効率化」「業務効率化」に効果があり,シンクライアントシステムは,「電力・エネルギー消費」「オフィススペースの効率化」「廃棄物量」の削減に効果があるというようにチェックしていく。テレワークやフリーアドレス,サーバ統合といった環境に配慮したシステム導入の事例(概念図)も紹介している。

 「2.ICT機器を選ぶ」のチェックリストは9項目から成る。例えば,「環境や人の健康に悪影響を与えるような物質の使用や排出がされないように設計されているか」「製造から流通段階,使用中における資源やエネルギーの消費量が少ないか」「再生可能な天然資源が利用されているか」「部品なども含めてリユースが可能なように設計されているか」などの視点を挙げている。

 総務省は,2006年11月に東京理科大学の森俊介教授を座長とし,「環境負荷低減に資するICTシステム及びネットワークの調査研究会」を発足させた。本日公表したガイドラインは同研究会の検討結果をまとめたものである。