新生ライブドアの経営陣。左から平松庚三ライブドアホールディングス社長,出澤剛ライブドア社長,照井知基ライブドア副社長
新生ライブドアの経営陣。左から平松庚三ライブドアホールディングス社長,出澤剛ライブドア社長,照井知基ライブドア副社長
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事件後もポータル・サイトのユーザー数は伸び続けたという
事件後もポータル・サイトのユーザー数は伸び続けたという
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広告収入は回復基調にあると説明
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既に複数のCGM型サービスを提供中
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 ライブドア・グループは4月2日,東京都内で記者会見を開き,同社グループの新経営体制を発表した。

 ライブドアは同日付けで持ち株会社の「ライブドアホールディングス」へ移行。同時に,インターネット事業会社の「ライブドア」を新設した。持ち株会社の社長には旧ライブドア社長だった平松庚三氏が,新生ライブドアの社長には旧ライブドアで上級執行役員メディア事業部長だった出澤剛氏が就任した。人員は持ち株会社が約50名,新生ライブドアが約280名。

 社名は変えず,ライブドアのまま事業を継続する。これは社名を変更するとサイトのドメイン変更が事実上必要となることや,「イメージの悪さもあるが,ブランド資産でもある」(出澤社長)点を考慮したため。

 持ち株会社はグループの企業ガバナンスやコンプライアンス対策,IR,訴訟対応,資金管理などの業務に特化する。本社を同社の象徴だった六本木ヒルズから7月を目処に他所へ移転。賃料を削減する。

 一方,新生ライブドアは本社を新宿区歌舞伎町に置き,ポータル・サイトの運営といったインターネットの「メディア事業」と,データセンター運営などの「ネットワーク事業」に集中。特にブログやRSSリーダー,写真共有サービスなどの「CGM(Consumer Generated Media)型サービス」に力を入れる。

 出澤社長は既にCGM型サービスでは成功していると強調。「ブログ・サービス『livedoorブログ』は国内のブログ・サイトの中ではユニーク閲覧者数で圧倒的1位。他にも,RSSリーダーやソーシャル・ブックマークなどのCGM分野で業界の1位や2位を取っている」と説明した。

 また,データセンター運営というインフラと,その上で動くサービスの両方を手掛ける点がライブドアの強みであるとし,「事業性が未知数の実験的サービスでも迅速に展開できる」(出澤社長)とする。

 CGM型サービスを強化するため,4月末には新型ブログ・サービス「PRAC」(プラック)を開始する。これはユーザーが書いた記事を自動的にカテゴリ分類する機能を実装。コンテンツ連動広告のマッチング性を高めるほか,類似の記事を書くユーザー同士を自動的につなげ,コミュニティを形成する機能も提供する。

 さらに,RSSリーダー「livedoor Reader」の英語版を4月末に提供。海外ユーザーの獲得を狙う。出澤社長は「日本発のネット・サービスとして世界のデファクト獲得を目指す」とコメントした。加えて,これらのCGM型サービスのシステムを「社内ブログ」や「社内SNS」のシステムとして法人向けにも販売する予定。

 会見では,ライブドア事件の事業に与えた影響についての説明もあった。まず,ポータル・サイトのユーザー数は事件以降も増加を続け,この2月にはユニーク接触者数で過去最高の1814万人を記録したという。これに対し,広告収入は事件以降に大幅に落ち込んだ。しかし,出澤社長によれば「最悪期を脱し,現在は売り上げがピークだった2005年12月の70%まで回復した」とする。

 新生ライブドアは07年9月に単月黒字を,08年9月期(07年10月~08年9月)に売り上げ70億円を達成する計画だという。また,3年後には売り上げ100億円規模を目指す。なお,株式市場への再上場については「大変難しい問題。安易に目指さない」(持ち株会社の平松社長)とのコメントがあった。