映像配信のシネマプラスは4月2日、電源コンセントからネットワーク接続できる電力線通信(PLC)を使った映像配信サービスを始める。まずはホテル向けから始め、病院や高齢者施設などへ事業を広げる。同社の映像配信サービスを利用する場合、通常はLAN環境を構築する必要があった。しかし、PLCを使うとLAN回線の敷設工事などが不要になるため、導入コストは従来の半分程度になるという。

 このサービスを導入したホテルリステル新宿は、07年2月から3月まで、同ホテルでPLCの導入実験を行っていた。PLCはコンセントの元になる分電盤内に親モデムを、各部屋のセットトップ・ボックス(STB)の手前に子モデムを置くことで、電力線を高速ネットワーク化するもの。同ホテルで使うPLC専用モデムは住友電工製で、20Mビット/秒程度のデータ転送レートを実現できるとしている。映画やアニメなどの映像配信以外に、通常のインターネット接続も同回線を通じて利用できる。

 PLCは、営業の停止が必要となる大がかりなネットワーク工事は必要なく、配信サーバーやモデム、STBを設置するだけで済む。そのため、「コスト面や工事期間などの問題で、ビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスを含めたネットワーク化に取り組めなかったホテルや病院などで、利用をうながす効果がありそう」(シネマプラス)だ。