3月31日,13年ぶりの新規携帯電話事業者となるイー・モバイルがサービスを開始した。イー・モバイルは,まずHSDPA(high speed downlink packet access)によるデータ通信専業の事業者としてサービスを開始し,2008年3月から音声サービスを提供する予定である(関連記事)。
サービス開始時の加入数は同社の種野晴夫・代表取締役社長兼COOによると2万弱。「端末台数は2万弱。加入数も同数。半分以上が(PDA型の)EM・ONEで,データ通信カードは今後企業の導入が進むことで伸びていく」(種野社長)とした。ユーザー層は20代後半から30代の男性が中心で,加入期間は2年契約がほとんどだという。また,同社の千本倖生代表取締役会長兼CEOは3月30日までの予約台数が1万7000台とし,「当初の予想である1万台をゆうに超えた」(千本会長)と順調な滑り出しであることをアピールした。
地下街やJRでの利用も考慮
開業当初のサービス・エリアは東名阪。首都圏では東京23区内が対象となる。今後のエリア展開は「首都圏は5月末までに国道16号線内,6月末までに札幌,仙台,広島,福岡に広げる」(種野社長)とした。基地局数は非公開としたが,総務省による公開情報によると2月17日時点で1501(総務省の無線局情報検索サイト:ここで「基地局(PHS除く)」を選んで検索)。
「23区内は基地局をかなり密に打っている。ビル内などは一部屋内基地局もあるが,外からの電波で対応できる」(同)とした。都内の地下街や電車内などでの利用については,地下街は6月を目標に新宿駅と東京駅で提供し,電車については23区内の地上を走るJRでの「検証は終わっている」という。ビジネスパーソンの利用が見込める新幹線内での利用については,「ぜひ検討したいが,検証はこれから」としている。
開業にあわせて都内量販店でイベント
都内の大手量販店店頭では,記念イベントが開催された。午前8時40分から記念イベントを開始したヨドバシカメラ マルチメディアAkibaには,イー・モバイルの千本会長,ヨドバシカメラの藤沢昭和代表取締役社長および同松井昭二郎マルチメディアAkiba取締役店長が登壇。
千本会長は「EM・ONEは世界でもっとも進んだ端末だと自負している」と主張。「今後5年間で必ず通話機能は付加機能になり,電話はスマートフォンへと姿を変える」と語った(写真1)。その後,ヨドバシカメラの藤沢社長,同松井取締役店長,およびイー・モバイルの千本会長の3人でテープカットを実施。前日23時から並んだという千葉県の会社員男性へ,千本会長と藤沢社長から最初のEM・ONEが手渡された(写真2,写真3)。
午前9時30分にセレモニーを開始したビックカメラ有楽町店本館(写真4)には,イー・モバイルの種野社長,ビックカメラの塚本智明常務取締役営業本部長,シャープの高森浩一取締役国内情報通信営業本部長,マイクロソフト モバイル&エンベデッドデバイス本部の梅田成二部長が出席(写真5)。種野社長は「既存事業者に一泡吹かせたい」との意気込みを語った。またビックカメラの塚本常務は「1階の店頭入り口は携帯電話売り場。イー・モバイルの開業で携帯電話売り場がますます活性化する」と期待を寄せた。