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 能登半島地震で、石川県や富山県の一部などでは、3月25日の午前9時42分の地震発生から4時間近く、固定電話や携帯電話がつながりにくい状態が続いていた。代わりに被害状況の確認など連絡手段として有効に働いたのは、衛星電話と電子メールだった。

 石川県庁総務企画部企画振興課の若山雅彦課長は地震発生直後の9時55分には、奥能登総合事務所に駆けつけていた(写真1)。石川県の「防災ハンドブック」では、「震度5強以上の地震が発生した際は、全職員が自主登庁すること」と規定していたからだ。同事務所は、震源に近い輪島市、珠洲市、穴水町、能登町の2市2町を所管する。

 若山課長は、他の職員と手分けしながら、2市2町の被害状況の確認および職員の安否確認に着手する。しかし、「固定電話と携帯電話がともつながりにくい状態で作業は難航した」(若山課長)。その中で、2市2町とのホットラインを結ぶのに有効だったのが衛星電話回線だ。

 同事務所では、公衆電話回線とは別に、衛星電話を2回線導入している。普段利用している卓上電話機の短縮ダイヤル・ボタン「衛星災害」を押せば、衛星回線経由の通話に切り替わる(写真2)。「年1回の訓練で実際に通話しており、操作で慌てることはなかった」(若山課長)という。

 一方、手を焼いたのが事務所職員の安否確認だ。県外に出かけているなど登庁できなかった職員の無事が確認できなかった。「職員の携帯電話番号は把握していたが、全然つながらない状態が続いた」(若山課長)のだ。しかし、そうした事態も、登庁できなかった職員の機転により好転し始める。「ルールとして取り決めていたわけではないが、職員の一部が携帯電話のメール機能で安否を知らせてくれた」(同)。最終的には、当日中に全職員の無事を確認できたという。

 NTT西日本によると、地震の発生直後から電話が集中したことで輻輳状態となり、電話が掛かりにくい状態が続いた。同社は、「災害用伝言ダイヤル(171)」の利用を勧めている。一方、NTTドコモは、携帯電話から携帯電話への音声通信を石川県内で最大87.5%制限した(固定電話への通話は最大50%を制限)。ただし、FOMA/movaともにパケット通信については制限していなかった。