写真 3月28日に開催された「IP化時代の通信端末に関する研究会(第5回)」
写真 3月28日に開催された「IP化時代の通信端末に関する研究会(第5回)」
[画像のクリックで拡大表示]

 総務省は3月28日,「IP化時代の通信端末に関する研究会」の第5回会合を東京・霞が関の総務省内で開催した(写真)。同研究会では,IP化時代の通信端末の将来イメージや通信端末に必要とされる機能,通信端末の実現方策などについて議論している(第1回の記事第2回の記事第3回の記事第4回の記事)。

 第5回目の今回は,東京電力の山田敏雄電子通信部長と,野村総合研究所の横澤誠研究創発センター上席研究員がプレゼンテーションを行い,この内容を基に議論が展開された。

 まず東京電力の山田氏は,「端末の将来像について」と題するプレゼンテーションで,東京電力の電力設備運用・保守の支援や,業務効率化・サービス向上のために活用している通信サービスや端末について説明した。今後のIP端末に期待する機能としては,音声通話時の品質保証や異常時,非常時の信頼性確保など九つの項目を整理。これらについて標準化の要否を含めた検討と,端末を安価でスピーディに安定的に導入できる環境整備が必要であると提言した。

 一方,野村総合研究所の横澤氏のプレゼンテーションは,「ユーザープラットフォームとその社会性について」。端末をユーザープラットフォームという言葉で言い換え,それをユーザーの視点と経済的な視点から整理する論を展開した。この中で「信頼性が端末とネットワークを巡る新たなキーワードになっている」との考えを示した上で,どのようなユーザー価値,企業価値,社会的価値を作り上げていくのかという問題を提起した。さらに,ユーザープラットフォームの社会性を形成する上での課題として,責任分担の在り方や信頼性の確保などを挙げた。

 その後の質疑応答では,責任分解点や信頼性などをキーワードに議論が繰り広げられた。弁護士の稲垣隆一氏は「信頼性とは誰の判断を信頼すればよいのか,誰が信頼の価値を与えるのか」と,信頼性の根本となるよりどころをどこに置くべきかについての問題を提起した。

 最後に研究会事務局の総務省総合通信基盤局電気通信技術システム課が,今後の主要論点を整理した「IP化時代の通信端末に関する研究会の今後の検討について」と題する資料を説明した。これは,通信端末の将来イメージなど三つの論点についてポイントをまとめた上で,第4回の会合後に各委員から集めた2010年/2015年の通信端末のイメージの一覧表と,これまでの研究会で委員から出された意見をまとめて資料化したもの。4月以降の議論のたたき台として各委員に配布した。