私的録音録画小委員会 第1回会合の様子
私的録音録画小委員会 第1回会合の様子
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 文化庁長官の諮問機関で、私的録音録画補償金について話し合う、文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会の2007年第1回会合が、3月27日に開催された。同小委員会は、補償金制度の抜本的な見直しを図る狙いで設置された機関。2006年初頭から2007年末の2年間に集中審議する。

 同小委員会が注目され始めたのは、2005年の「iPod課金」問題から。iPod課金とは、私的録音補償金の対象機器にiPodなどの携帯音楽プレーヤーを追加指定するよう権利者団体らが求めたもの。当時の法制問題小委員会において、追加指定に反対する機器メーカーや消費者などとの間で論争となり、関連業界を巻き込んで大きな議論を引き起こした(関連記事1関連記事2)。

 同小委員会での議論は平行線をたどり、結局2005年末に追加指定の見送りが決定。合わせて、補償金制度そのものを抜本的に見直すことが決められた(関連記事3関連記事4)。

 2007年の私的録音録画小委員会では、(1)著作権法第30条の定める私的複製の対象から除外すべき利用形態、(2)DRMの技術進歩に伴う今後の補償金制度の必要性、の2点について議論を進める。

 このうち(1)については、議論の方向性が見えつつある。改正案の内容は大きく2つある。一つは、権利者の承諾を得ずにインターネット上で違法配信されている音楽配信サイトから消費者がダウンロードした楽曲について、消費者の私的複製を違法とする案。もう一つは、配信サービス事業者などが権利者の許諾を得て合法的に展開している音楽配信サイトから消費者がダウンロードした楽曲について、著作権法第30条の私的複製の対象外とし、事業者と消費者との契約とデジタル著作権管理(DRM)により複製の可否や対価を規定するという案だ。

 一方で、補償金制度そのものの見直しについては、現在のところ議論の方向性が定まっていない。同小委員会の事務局では、論点をまとめた資料を作成するなどして議論の進展を模索してきたが、関係者間での考え方の溝が依然として深く、合意に向けた方向性を見出すに至っていないのが現状だ。今回の第1回会合では、「iPod課金の論争を契機に抜本見直しをするはずが、細かい点について討議するミクロな議論にわい小化されてしまっている」(津田大介委員)との声も上がった。

 抜本的な議論の難しさについては、同小委員会の主査を務める中山信弘委員も「(著作権法)第30条はパンドラの箱。開けてしまうと、何年経っても(議論が)まとまらない」と認める。権利者、メーカー、消費者の3者の決裂を避けつつ、残り1年という区切りの中でどこまで踏み込んだ議論ができるかが、当面の焦点となりそうだ。

 会合はおおむね月1回のペースで開催する予定。現在の審議日程では、8~9月に中間まとめを作成し、11~12月に報告書をまとめて文化審議会 著作権分科会へ報告するというスケジュールとなっている。