写真:米Intelのカーク・スカウゲン副社長。手に持つのは45nmの製造プロセス・ルールに基づくXeonプロセッサのサンプル
写真:米Intelのカーク・スカウゲン副社長。手に持つのは45nmの製造プロセス・ルールに基づくXeonプロセッサのサンプル
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 インテルが新しい製造プロセス・ルールに基づくプロセッサの開発を急いでいる。現在のプロセッサの製造プロセス・ルールは65nmだが,今年中にこれを45nmに微細化する。4月中には45nmに基づく次期マイクロアーキテクチャ「PENRYN(ペンリン:開発コード名)」を発表。今年後半にPENRYNをベースにしたXeonプロセッサの出荷を始める予定だ。2008年には45nmを前提にアーキテクチャを刷新し,「NEHALEM(ネハーレン)」として投入する計画である。

 このたび来日した米Intelのカーク・スカウゲン氏(デジタル・エンタープライズ事業本部副社長兼サーバー・プラットフォーム事業部長)は,次のように意気込みを語る。「昨年,当社はあらゆる製品を当初の計画よりも前倒しで市場に投入した。45nmに基づくプロセッサも,この勢いで投入していく」。PENRYNの概要は,4月中旬に中国・北京で同社が開催する開発者向け会議「Intel Developer Forum」で正式に発表する。

 PENRYNは現在インテルが主要プロセッサに採用している「Coreマイクロアーキテクチャ」をベースにしたもの。一つのダイの上に二つのコア(処理中枢)を搭載する。現在インテルがXeonやデスクトップ向けプロセッサに投入しているクアッドコア(四つのコア)・プロセッサは,プロセッサ・パッケージの中に二つのダイを入れ込んでいる。四つのコアに最適化したダイの設計とは言いにくいが,ダイの面積を小さく抑えられるので,チップの歩留まりが高い。これまでPENRYNについては一つのダイに四つのコアを搭載する「モノリシック型」を採用するのではないかという憶測もあった。モノリシック型の採用はNEHALEMからになりそうだ。

 今年半ばに米AMDが発表する予定のクアッドコア・プロセッサ「Barcelona(バルセロナ)」はモノリシック型を採用する。製造プロセス・ルールは65nm。四つのコアに最適化した設計を目指せる一方,ダイの面積が大きくなる分,チップの歩留まりが低くなる可能性がある。

 AMDと対比させると,インテルは一つのダイに搭載するコア数を増やすことよりも先に,製造プロセス・ルールの微細化を選択した形になる。微細化によりチップ面積が小さくなることが期待される。インテルのスカウゲン氏は「コア数の増加,製造プロセス・ルールの進歩,マイクロアーキテクチャの刷新は,いずれも非常に大変なことで,一度に実施するのはリスクが高い。そこで当社はどれかを確実に進めるアプローチを採用している」と説明する。

 スカウゲン氏は1月に発表した米Sun Microsystemsとの提携についても言及した(IntelとSunとの提携についての関連記事)。「単発的な提携ではなく,複数年にまたがる戦略的な案件」と強調する。提携の趣旨は,「SunのUNIX OSであるSolarisはインテルのプロセッサ上で動く“正式なOS”である」と明言すること。Sunの開発チームではOSをインテル製チップセットや仮想化技術に向けて最適化を進めている。インテル側でも人員を投入してプロジェクトを進めているという。「特に今年の後半は,この提携関連で多くの内容を発表していく予定だ」(スカウゲン氏)。