セブン&アイ・ホールディングスが3月27日に開催した電子マネー・サービス「nanaco」の説明会では、同社の電子マネー戦略の一端が明らかになった。

 まず、自社ブランドにこだわった理由については、他社サービスを利用した際のコスト負担が重いことや、自社サービスとして「顔の見えるサービス」を提供したい、責任を明確化したいなどを挙げた。

 電子マネーの費用負担はすべて本部持ちとし、フランチャイズ店側の負担はないとした。これは、電子マネーを決済のインフラと位置づけているからであり、店舗の売り上げの大小に関わらず、同じ条件で利用できるようにする。ただし、グループ外店舗への導入は別だとし、EdyやSuicaなどと同様、外部企業からは一定の手数料を徴収する方針のようだ。

 同グループ店舗で利用可能な電子マネーは一気に増えそうだ。当初こそnanacoのみだが、2007年夏以降はJCBなどが推進する携帯電話機クレジット「QUICPay」も利用できる。プリペイド型、ポストペイ型電子マネー(クレジット)には、このほかにも多くのサービスがあるが、経済的条件が折り合えば導入していくという。セブン-イレブン・ジャパンの氏家忠彦取締役 専務執行役員は「各サービスの“経済的条件”にはそう大差がない。条件が合わずに決裂ということはないだろう」としている。

 電子マネー導入の狙いについては、決済時の時間の短縮や購入に応じたポイント付与などの利便性の向上と並んで「商品開発」「価値のあるチャネル作り」を挙げた。年齢や性別といった顧客の属性と購買履歴、利用店舗などの情報を収集し、利用状況の分析やオリジナル商品の開発につなげていく。