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 富士通は3月27日、コンサルティング事業の強化を狙い、本社にある「コンサルティング事業本部」を子会社の富士通総研(FRI)に移管すると発表した。富士通グループに分散していたコンサル部門をFRIに集約する一方で、FRIはITサービスを提供する富士通との連携をより強化。経営コンサルを切り口にしたソリューション提供力を強めていく。

 本社のコンサルティング事業本部に属するコンサルタント150人などがFRIに出向することで、FRIが抱えるコンサルタント数は350人になる。さらに、コンサルタント向けの社内試験に合格した一部の社員をFRIに出向させたり、外部からの採用を活発化させたりすることで、「2~3年後にはコンサルタント1000人の体制にして、売上高を倍増させる」(プロフェッショナルサポートビジネスグループ担当の平田宏通経営執行役上席常務、写真)考えだ。増員や事業拡大については、他のコンサルティング会社のM&A(企業の合併・買収)も積極的に検討するという。なおFRIの売上高は2007年3月期予想で96億円。

 日本IBMや日立製作所、NECなどの大手コンピュータメーカーは、どこもコンサル事業の強化に取り組んでいる。「富士通の強みや特色はどこか」という質問に対し、平田執行役上席常務は(1)FRI内にあるシンクタンクの経済研究所が、国内外の経済問題の分析や政策提言に取り組んできており、中長期の企業環境を含めたコンサルティングが提供できる、(2)富士通グループで実業として欧米にコンサル機能を持っているので、世界的なネットワークで多国籍企業をサポートできる--点にあると語った。(2)は具体的には英富士通サービス、米富士通コンサルティングなどであり、実際にある総合商社の関係会社(海外30社、国内14社)に米SOX法対応のコンサルティングを提供した際には、英米に加え豪富士通オーストラリアなどの現地子会社が顧客をサポートした実績があるという。