「組み込みLinuxは2009年に45億円,2006年からの伸張率は138.6%」---富士経済は報告書「エンベデッドシステムマーケット 2007」をまとめた。エンベデッド(組み込み)システムの注目市場としてLinuxとエンベデッドSI(組込みシステムインテグレート)市場を挙げ,後者は2009年に9400億円の市場となり,2006年からの伸張率は130.6%と予測している。

 組み込みLinuxついて富士経済では「2000年頃から市場を形成し急拡大してきたが,2005年以降二桁成長を続けているものの市場はやや落ち着いてきている」としている。「デジタル家電機器,携帯電話機器などでの採用が進み,2005年に件数ベースで615件,金額ベースで28 億円の市場となり,2006年は件数ベースで前年比17%増の720件,金額ベースで同15%増の32億円の市場と見込まれる」(富士経済)。

組込みLinux市場

分野
2006年
2009年予測
伸長率
業務/産業用
20億円
28億円
140.0%
民生用
12億円
17億円
136.4%
合計
32億円
45億円
138.6%

 業務/産業用分野ではキャリア向けの通信機器などを中心とした通信・ネットワーク関連が約45%と主力分野であり,今後は次世代通信網(NGN)関連などで拡大傾向にあるという。また,OA複合機や自動車関連分野での採用が広まりつつとしている。民生用分野では今後もデジタルテレビ,HDDレコーダ,ホームサーバ等を中心に組込みLinuxの採用が増加すると予測している。

 組み込みLinuxの課題としては,Linux技術者の不足,起動時間の長さ,応答性の問題,グラフィック関連ミドルウェアの移植が難しいことを挙げている。

 エンベデッドOS市場全体としては,2006年は89億円,2009年に108億円,伸長率121.3%と予測している。国産仕様OSのITRON,Linux,商用のRTOS(real-time operating system),Windows系組込みOSの4つが主要な市場となっている。

 エンベデッドSI(組込みシステムインテグレート)市場は,2006年が7200億円で,2009年は9400億円,伸長率130.6%と予測している。2006年の内訳は,携帯電話関連が最も大きく1800億円(構成比25%),情報家電関連が1300億円(同18%),自動車・車載関連が1100億円,OA・業務関連が800億円,通信・ネットワーク関連が700億円だった。

 そのほか,エンベデッドプロセッサ市場は2006年に1兆8866億円,2009年には2兆4130億円で伸長率127.9%と予測。

 エンベデッドボード市場は2006年に243億円で,2009年には281億円,伸長率115.6%と予測。

 エンベデッドミドルウェア市場は2006年に283億円,2009年には499億円で伸長率176.3%と予測している。

◎関連資料
エンベデッド(組込み)システム市場の調査を実施(富士経済)