米国で論議を呼んでいる「ネットワークの中立性」に関して,米連邦通信委員会(FCC)は米国時間3月22日に情報提供要請(Notice of Inquiry)を公表した。ブロードバンド・サービス市場の慣行について調査を開始する。

 ネットワークの中立性とは,(1)通信事業者間の設備コスト負担の公平性と,(2)利用の公平性という二つの論点を指す。米Googleや米Yahoo!が「通信事業者は誰のコンテンツであっても分け隔てなく伝送すべき」と主張し,一方,通信事業者側は「コンテンツは伝送するがコンテンツ・プロバイダも設備コストも負担すべき」と反論している。

 今回のNotice of Inquiryでは,主に以下の点について意見や情報を求める。

  • ブロードバンド通信事業者が自社ネットワーク上のトラフィックをどのように管理しているか
  • ブロードバンド通信事業者は,サービスの容量に応じて事業者に異なる料金を課すべきかどうか
  • 高い利用料を徴収するコンテンツ企業とそうでないコンテンツ企業を区別するべきかどうか

 また,これらの慣習による消費者への影響も調査する。

 FCCは,公共インターネットの解放性と相互接続性を維持・促進するための4原則を定めた声明(2005 Internet Policy Statement)を打ち出しているが,寄せられた意見をもとに,新たな公平性(nondiscrimination)の原則を組み込むか否か,公平性をどのように定義するかなどを検討する。

[発表資料(PDF書類)]