「3月に発表した米IDCの調査結果によると、昨年1年間で、全世界では1610億Gバイトのデジタル・データが生成・複製された。1Mバイトを1冊の本として、米マサチューセッツ州全体に敷き詰めたら、高さが2.3メートルになる。これが2010年には6倍になる見込みだ」。EMCジャパンのナイハイゼル・エドワード代表取締役は、22日、ホテルニューオータニ(東京都千代田区)にて開催された「IT Trend 2007」の講演で、増え続ける情報量に対する危機感を訴えた。

 2010年まで待たずとも、「今年には、全世界で1年間に生成されるデータ量が世の中のストレージ容量を初めて上回る」とエドワード氏は指摘する。保存できる量を超えて情報が生成されるため、今後は格納すべき情報を選択しなければならなくなるという。

 さらに容量の拡大は、保存できるかどうか以外の問題も引き起こす。企業は、顧客や取引などのデータをセキュリティを確保しながら保存・管理しなければならないが、データ量が爆発的に増える中、そのコストは膨大になってしまう。

 現在、全世界で400億ドルといわれるセキュリティへの投資額はさらに増え、2010年には650億ドルに上ると同氏は推測。それだけコストをかけても、「世界企業へのアンケート結果は、82%は情報セキュリティにリスクを感じ、安心していないという結果が出た。データが増え続ければ、これまで通りのセキュリティのやり方では間に合わない」とエドワード氏は話す。

 「お城(=データ)を守るために、濠を深く掘って、塀を高くして、よそ者が入らないようにする防御線型のセキュリティだけでは足りない。データ本体を保護する情報中心型のセキュリティが必要となってきた」(同氏)。つまり、ファイアウォールや本人認証などの防御線を張るだけではなく、データのアクセス管理、暗号化や鍵などの情報そのものにセキュリティをかける方法がもっと必要になると同氏は主張する。

 「このほかトランザクションやインフラストラクチャなどを含めたセキュリティの確保も重要だが、EMCではさらに一歩進んで、共通セキュリティ・プラットフォーム(CSP)をサービスとして提供することに取り組む。リソース管理やコンテンツ・サービス、アーカイブ、データ移動・保護などに対してもサービスを拡充する」とエドワード氏は計画を披露した。

 SOX法の後、米国企業では格納するデータ量が増えたかという会場からの質問に対してエドワード氏は、「間違いなく増えた。昔はEメールを残さなかったが、今では重要なデータとして扱われる。これまで全体の20%がSOX対応に必要なデータだったが、それが30%にまで増えるはずだ」と答え、講演を締めくくった。