写真●PLCモデムの親機と子機をセットにした「PL-HDP-L1/S」
写真●PLCモデムの親機と子機をセットにした「PL-HDP-L1/S」
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 バッファローは3月22日,物理速度190Mビット/秒の高速電力線通信(PLC)モデムを発表した。親機と子機をセットにした「PL-HDP-L1/S」(2万2050円)と,増設用子機の「PL-HDP-L1」(1万4280円)の2製品。同社の無線LAN製品を補完するホーム・ネットワーク機器と位置付け,4月上旬に出荷を始める。

 PL-HDP-L1/Sは暗号化設定済みの状態で出荷されるため,親機と子機のそれぞれをコンセントに接続するだけで電力線のイーサネット・コンバータとして利用できる。増設時はPL-HDP-L1,または他社製のHD-PLCモデムを接続し,暗号設定用のボタンを押すとAES(鍵長128ビット)による暗号化が自動設定される。最大接続台数は親機を含めて16台。最大通信距離は150m。

 同社が測定したTCP通信時の実効速度は,「同じコンセントに接続した場合が55Mビット/秒」「1階と2階に設置した場合が11.9Mビット/秒」「小型のACアダプタをノイズ・フィルター付きのタップを介してPLCモデムと同じコンセントに接続した場合が10.8Mビット/秒」という。小型ACアダプタをPLCモデムと同じコンセントに直結した場合はリンクが確立しなかった。

松下電器のHD-PLCを採用

 PLC技術には松下電器産業が開発したHD-PLC方式を採用。国内大手周辺機器メーカーによるHD-PLCの採用は,アイ・オー・データ機器に続いて2社目となる。

 国内で利用できるPLCモデムの通信方式には,HD-PLCのほかに,米国で普及する「HomePlug」,企業向けソリューションで強みを持つスペインDS2の「UPA」などがある。異なる方式のPLCモデムは相互接続ができず,干渉による速度低下を引き起こす。IEEEにおける標準化は要件を定義し終えた段階で,標準化への道筋は見えていない。

 3方式のうちUPAは,NECや三菱電機,住友電気工業などがビルや工場での利用を想定する企業向けソリューションで採用。企業向けにおける事実上の標準となりつつある。HomePlugは,住友電気工業が通信事業者に向け,シャープが薄型テレビの周辺機器向けに開発を進めている。HD-PLCはバッファロー,アイ・オーのほかNTT東日本もHD-PLC準拠のPLCモデムを自社ブランドで出荷している。