ソニーは,従来よりも少ない計算量で済む共通鍵ブロック暗号アルゴリズム「CLEFIA(クレフィア)」を開発したと,2007年3月22日に発表した。組み込み用途などのように大きなフット・プリントを使えない場合やCPUの処理能力が低い場合などにおいて,既存の暗号よりも高速に動作するとしている。

 CLEFIAは,共通鍵ブロック暗号アルゴリズムの代表格であるAES(Advanced Encryption Standard)と同じく,ブロック長128ビット,鍵長128/192/256ビットの暗号である。AESがSTN(Substitution Permutation Network)構造を採用しているのに対し,CLEFIAではFeistel構造を採用した。内部関数の構成法を工夫することで「Diffusion Switching Mechanism(DSM),拡散行列切り替え法」と呼ぶ技術を開発し,少ない計算量で済むようにしたという。

 ハードウエア実装時,単位ゲートあたりの処理速度は世界最高であるとしている。具体的には,0.09マイクロ・メートルCMOS標準セルライブラリを使い,6.1キロ・ゲートの実装で最大1.42ギガビット/秒のスループットを出せるという。ソフトウエアとして実装した場合でも,CPUの種類を問わずに高速に処理できるとしている。

 ソニーはCLEFIAの研究成果を,2007年3月26日から欧州Luxembourgで開催される国際会議Fast Software Encryption 2007(FSE2007)で発表する。これまでも関連研究成果を,FSE2004,ASIACRYPT2004,FSE2006などで発表してきた。