写真1 2007年の事業戦略を説明する日本IBMの橋本専務執行役員
写真1 2007年の事業戦略を説明する日本IBMの橋本専務執行役員
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写真2 日本IBMが進めるサービス製品ライン(SPL)
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 日本IBMの橋本孝之専務執行役員は3月20日、同社のITサービス事業について、2007年度の戦略説明会を開催した(写真)。同社はITサービスのGTS部門に、アウトソーシング(呼称はSO)、インフラストラクチャー構築支援(同ITS)、保守(同MA&TS)の3事業を有する。注目されるのはインフラストラクチャー構築支援事業における、サービスの「製品化」だ。

 同社ではサービス製品ライン(SPL)と呼んでいる。橋本専務執行役員は「SPLはシステムの運用基盤をメニュー化する。いわば、サービスを工業製品化するものだ」と説明する。

 具体的には、「ネットワーク/IPコミュニケーション・システムの構築」、「セキュリティ」や「事業継続計画(BCP)」の策定や実装、「サーバー」や「データセンター」の構築・運用、などのサービスを10のカテゴリに分けて、それぞれ複数のメニューを提供していく。サービスによっては、料金を明確に提示する。例えば、同日にはデータセンターの電力消費および発熱の問題を解決するというメニューを、「270万円から最短2週間」で提供することを発表した。

 SPLはこの1月から本格的に始めたもので、「2~3年後にはサービス体系を完成させる。ゆくゆくは40~50のメニューを提供したい」(橋本専務執行役員)としている。現在のところ、「データセンターの消費電力問題の解決」のほか「ネットワーク基盤の構築」など五つのメニューを用意している。

 SPLの開発の体制について橋本専務執行役員は「日本IBMの社内だけでなくワールド・ワイドのIBMから必要なものを取り込んでいく。IBMにないものは買収していくこともある。今後こうしたM&A(企業の買収・合併)の動きは加速していく」と語った。その一例が昨年買収したインターネット セキュリティ システムズ(ISS)だという。

 一方、保守事業ではこの4月に、顧客からのハードウエアとソフトウエアの問い合わせ窓口を一本化する。また、ソフトウエアに起因するシステム障害の解決について有償のメニューを用意し、顧客から請け負うサービスの範囲を明確化する考えだ。

 アウトソーシング事業では、顧客との間でサービスの目標値をKPI(重要業績評価指標)として設定していく。また、IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS)のコンサルタントと連携し、経営課題の解決からアウトソーシングの提供まで一貫して手掛ける態勢を強化する。