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 文化庁長官の諮問機関で著作権法や関連法規の整備について話し合う、文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会の2007年第1回会合が、2007年3月19日に開催された。デジタルコンテンツの流通促進を図るための法整備、海賊版コンテンツの広告行為の制限、一部権利侵害の非親告罪化などについて議論する予定。4月以降、おおむね月1回のペースで会合を開き、8~9月をめどに中間取りまとめを作成する。

 デジタルコンテンツの流通をめぐっては、インターネット上でコンテンツの商用ベースの流通が増加している一方、現行の著作権法では許諾や裁定などの仕組みが複雑であることが流通促進の妨げになっているとの声が上がっている。経済財政諮問会議や知的財産戦略本部などでも同様の議論があり、これを受けてデジタルコンテンツの著作権保護や利用方法などに関する法整備を進める。具体的には、(1)著作権法とは別にデジタルコンテンツの扱いを定めた特別法を制定すること、(2)デジタルコンテンツと一般の著作物、財産的価値のある商用コンテンツとそれ以外といった区分を定めること、(3)デジタルコンテンツの登録制度を設け、登録済みコンテンツは一定の対価を支払うことで権利者の許諾を経ずに利用可能にすること、(4)デジタルコンテンツの利用ルールについて、一定の条件下で利用を認めるいわゆるフェアユース規定を適用すること、(5)不正利用に対する強力な取り締まりの仕組みを取り入れること――などについて、導入の是非や詳細な内容について議論する。

 デジタルコンテンツ関連では、Googleなど検索エンジン関連の法整備も議論される予定。検索エンジンが自動的に実施しているコンテンツ収集(クロール)について、現行の著作権法では複製権、翻案権、公衆送信権などに抵触する恐れがある。これについて、米国などと足並みをそろえ、フェアユース規定により一定条件を満たせば合法と明記し、検索サービスの充実を促す方針だ。

 海賊版コンテンツについては、ネットオークションなどでの取引を現状より厳しく取り締まるため、オークションサイトなどでの広告行為自体を禁止する方向で検討する。また、海外における海賊版コンテンツの販売行為の取り締まりを強化するため、日本の著作権法において被害者の告訴なく捜査当局の取り締まりを可能にする制度を設け、同様の制度の創設を各国に求めていくことを検討する。

 2007年の文化審議会 著作権分科会では、法制問題小委員会のほかに「私的録音録画小委員会」「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」「国際小委員会」の3つの小委員会を設ける。私的録音録画小委員会は、2006年初頭から2007年末の2年間の予定で私的録音録画補償金制度の抜本見直しを進めており、年内をめどに制度改正の方向性を定める。過去の著作物などの保護と利用に関する小委員会は、権利者団体らが求めている著作物の保護期間の延長などについて話し合う。