NECが開発したロケーションコールを利用すれば,店舗内で,買い物客が自分の携帯電話から無料で売り場担当の店員を呼び出すといったサービスを提供できる
NECが開発したロケーションコールを利用すれば,店舗内で,買い物客が自分の携帯電話から無料で売り場担当の店員を呼び出すといったサービスを提供できる
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 NECは3月19日,サービス提供者が,携帯電話のユーザーの位置情報によって,システムへのアクセス制限や通話料金の課金先の切替えなどを独自に設定できる通話サービス制御システム「ロケーションコール」を開発したと発表した。

 例えば大型の商業施設などで,店舗エリア内に限り,買い物客が自分の携帯電話から無料で,売り場担当の店員を呼び出したり,店内インフォメーションに問い合わせたりするサービスを提供できる。

 ロケーションコールのシステム構成は,インターネット網に接続されるロケーションコールサーバと,通常の電話網に接続される汎用SIPサーバ,および発信者(ユーザー)の携帯電話端末内のアプリケーションなどである。

 サービス提供の流れは次のようになる。買い物客などのユーザーが,携帯電話のアプリケーションで店員を呼び出すボタンをクリックすると,ユーザーの位置情報と通話サービスの利用要求がロケーションコールサーバに送信される。

 ロケーションコールサーバはユーザーの位置情報に基づいて受け付けの可否判断を行う。もし可能(エリア内)と判断した場合には,サービス提供者側が通話料金を負担する着信課金の電話番号を選択して,ユーザーの携帯電話に通知する。ユーザーがこれを確認して発信ボタンをクリックすると,売り場担当の店員の携帯端末に電話がかかる。

 ユーザーが施設内のどのゾーンから電話しているかを判別するため,予めゾーンごとに発信者番号を割り当てておくことができる。ロケーションコールサーバはSIPサーバと連携し,ユーザーの携帯端末から発信された通話を,その位置情報に対応した発信者番号を付加して転送する。このため電話を受けた店員は,ユーザーがどこから電話をかけているのかを発信者番号から確認できる。

 携帯電話のアプリケーションは,サービス提供者のサイトにアクセスしてダウンロードすることを想定している。「最近,大型の商業施設は独自のサイトを開設し,施設をよく利用する買い物客に会員登録してもらい,セール情報を流したり,クーポン発券などのサービスを提供しているところが多い。ロケーションコールは,そうしたサービスの一環として,エリア内で店員の呼び出しや場内案内の無料通話を提供できるのではないかと考えている」(NEC広報部)。

 NECでは,3月20日~23日に名古屋市の名城大学天白キャンパスで開催される電子情報通信学会2007年総合大会で,ロケーションコールの技術について発表する予定だ。商用化については,数年以内に実際の商業施設で実証実験を行った後,サービスの提供を開始したいとする。