ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は米国時間3月15日,同社のビデオ・ゲーム機「プレイステーション3(PS3)」を用いた医療研究への協力について発表した。PS3を最新システム・ソフトウエアにアップデートすることにより,米国スタンフォード大学が推進する分散コンピューティング・プロジェクト「Folding@home」に参加できるようになる。

 Folding@homeは,人間のタンパク質の折りたたみ現象を研究し,関連する疾病の解明を目的とした試み。タンパク質の折りたたみの過程は非常に複雑であるため,そのシミュレーションには1台のコンピュータで最大30年かかるほどの計算力が必要とされる。Folding@homeでは,ネットワークを介して参加する多数の端末に計算の一部を分担させる。各端末で処理した情報はインターネット経由で中央コンピュータに戻される。

 SCEが3月末に提供するアップデートをPS3に適用すると,XMB(クロスメディアバー)の「Network」メニューにFolding@homeアイコンが表示される。同アイコンをクリックすることで,Folding@homeのシミュレーションに参加できる。また,PS3を使っていない(ただしネットワークに接続し,電源を入れた状態)ときに,自動的に同プロジェクト用のアプリケーションを走らせるよう設定することも可能。

 SCEは「PS3が搭載する『Cell Broadband Engine(Cell/B.E.)』プロセサは標準的なパソコン用プロセサと比べ約10倍速いため,より高速にシミュレーションを実行し,研究にかかる時間を短縮できる」と述べる。「Cell/B.E.搭載PS3とその分散ネットワークを,パーキンソン病,アルツハイマー病,ガンなどの原因究明に役立てられる」(同社)

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