図1 Windows版にある「リボン」に似たユーザーインタフェース「Elements Gallery」。ここではスライドのテーマを選んでいる
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図2 見栄えの良い図を簡単に作れる「SmartArt」
図2 見栄えの良い図を簡単に作れる「SmartArt」
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図3 「iPhoto」の画像もスムーズに文書に挿入できる
図3 「iPhoto」の画像もスムーズに文書に挿入できる
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図4 「Publishing Layout View」で複数の文字枠を作成し、文章をコピーしたところ。あらかじめ設定しておいた順番で文字が配置される
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図5 「Publishing Layout View」は、レイアウトに凝った文書の作成に向く
図5 「Publishing Layout View」は、レイアウトに凝った文書の作成に向く
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図6 「Entourage」用の小規模アプリケーション「My Day」。ここに作業項目(To Doリスト)を書き込むことも可能だ
図6 「Entourage」用の小規模アプリケーション「My Day」。ここに作業項目(To Doリスト)を書き込むことも可能だ
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 マイクロソフトのOffice新版「2007 Office system」の発売はいまだ記憶に新しい。そんな中、実は同社が年内にもう一つのOfficeを発売することをご存知だろうか。2007年後半に発売が予定されているMac用のOfficeソフト「Office 2008 for Mac」だ(発表資料)。

マイクロソフトは世界第2位のMac製品開発メーカー

 マイクロソフトには、「Mac BU(Macintosh Business Unit)」と呼ばれるMac製品専門の開発チームがある。200人弱の開発者が所属しており、米アップルを除けば、世界最大のMac製品開発組織だという。Mac BUには最新のMacintoshがずらりと並んだ評価スペースもあり、およそマイクロソフトらしからぬ光景だ。Windows製品のチームとも連携して開発に当たっており、Officeの開発についても情報交換し合って進めているという。

 Office 2008 for Macは、旧来の「PowerPC」とインテル製のCPUの両方でネイティブに動作する初めてのOffice製品。マイクロソフトでMac製品を担当する、パーソナルシステム事業部 ホーム&リテール製品部の仲尾 毅エグゼクティブプロダクトマネージャによれば、これ以外にOffice 2008 for Macのポイントは大きく3つあるという。Windows版の「2007 Office system」との共有技術の採用、「Mac First、Mac Only」な機能の搭載、そして旧版やWindows版との互換性の確保である。開発途上版のデモ画面を基に、その姿を見ていこう。

 まずは、Windows版との共有技術。ここで気になるのはユーザーインタフェースだ。2007 Office systemではメニューバーをなくし、タブ型のインタフェース「リボン」を搭載するなど大胆な変身を遂げたが、Mac版は旧来のメニューバーを残している。ただし、「リボンにインスパイアされて生まれた」(仲尾氏)という、「Elements Gallery」(図1)と呼ぶ操作領域を用意した。リボンによく似ており、タブで区切られた横長の操作領域だ。リボンとの違いは、その使用局面。リボンがアプリケーションのすべてのメニューを実行するものであるのに対して、Elements Galleryはその名の通り「ギャラリーの中から要素を選ぶ」場面で登場する。

 例えばPowerPointなら、メニューを示すアイコンの下に「Slide Themas(スライドのテーマ)」「Slide Layouts(スライドのレイアウト)」などと書かれたタブが並んでおり、これをクリックするとリボンに似た領域が現れる。ここに、スライドのテーマやレイアウトなどのサムネイルが表示され、ユーザーが好みのものを選択できるというわけだ。ただし、Windows版の特徴である、サムネイルにマウスを重ねただけでその適用イメージを確認できる「ライブプレビュー」には今のところ対応していない。製品版で対応するかどうかも未定だという。

 図形作成機能「SmartArt」(図2)も、Windows版と技術を共有した部分。華やかで人目を引くグラフや図形などを簡単に作成できる機能だ。「Windows版のOfficeチームからソースコードをもらい、Mac OS Xのグラフィックスエンジンを混ぜながら開発した」(仲尾氏)という。なお作図に関しては、部品が並んだ領域(オブジェクトパレット)の下部のスライダーを動かすことで部品の大きさを動的に変えられる、オブジェクトパレット内からMac標準の画像管理ソフト「iPhoto」を呼び出して写真を挿入できる(図3)、といった特徴もある。

Windows版にはないMacオリジナル機能も搭載

 「Mac First、Mac Only」に当たる機能としては、Wordが搭載する「Publishing Layout View」(図4~5)が興味深い。「フリーレイアウトを採用するDTPソフトの概念をワープロに取り込んだ」(仲尾氏)という機能だ。ワープロで入力位置を示すカーソルが表示されず、文字を入力する際には文字枠を作成し、それを好みの位置に配置するという手順を踏む。枠が複数ある場合はそれぞれに順番を付けることができ、長文の文字を貼り付けると、順番に沿って文字が配置されていく。パンフレットやチラシなど、凝ったレイアウトの文書を作成したい場合に重宝しそうだ。当然ながら、この機能を使って作成したファイルも通常のWordファイルとして保存できるので、Windowsユーザーにそのまま渡すことも可能だ。

 Mac版のみに用意されている個人情報管理ソフト「Entourage」には、専用の小規模アプリケーション「My Day」を用意(図6)。Entourageを起動することなく、My Day上でスケジュールなどを確認できる。作業項目(To Doリスト)をMy Dayに直接入力することも可能だ。またExcelには、簡易的な財務管理表作成機能「Ledger Sheets」が加わった。必要な数式などがあらかじめ埋め込まれているので、手軽に財務管理ができる。

 互換性の確保という面では、2007 Office systemが採用した新ファイルフォーマットに対応。Windows版と問題なくファイルをやり取りできるようにした。また現行の「Office 2004 for Mac」で新フォーマットのファイルを読み込むためのコンバーターも開発中。ベータ版を2007年春にもリリース予定で、正式版はOffice 2008 for Macのリリース後、6~8週間後に公開される見込みという。