総務省は2007年3月13日,2006年12月末時点のブロードバンド(高速大容量)サービスの契約者数を発表した。ブロードバンドサービス全体の契約者数は2576万人となり,前回調査の2006年9月末に比べて71万件増加した。その中でもFTTHサービスの契約者数は2006年12月末時点で794万件となり,ブロードバンド全体に占める割合が初めて3割を突破した。

 ところがこのうちの大半のシェア(市場占有率)を持つNTT東西から,「ここにきて需要の頭打ちを感じ始めている」という声が出始めている。IP電話などを中心に右肩上がりで伸びた需要が一巡し,月間純増数の拡大ペースが鈍っているというのだ。総務省の調査を見ても直近の四半期分のFTTHサービスの純増数は78万6000件で,2005年1~3月期から3期続いていた80万件の純増数を下回っており,勢いが鈍っている様子が見て取れる。

 こうしたなか,FTTHサービスの次の需要を創造する役割を,映像サービスに期待する声が高まっている。NTTグループは,IPマルチキャスト方式による多チャンネル放送サービスに資源を集約する体制を整えている。これに対して,追う立場のKDDIは,2007年4月にも東日本旅客鉄道(JR東日本)と提携し,難視聴対策としてFTTHサービスの販売を進める計画だ。JR東日本が提供するCATVサービスをKDDIのFTTHサービスに置き換え,RF(高周波信号)方式で地上波放送を再送信する。各家庭には,まず放送を受信する手段としてFTTH回線を導入してもらい,その後,IP電話や高速インターネット接続サービスも追加で契約してもらうというシナリオを描いているようだ。KDDIの今回の戦略は,FTTHサービスの需要を創出する新たな手法になるかもしれない。