BMC Performance Manager
BMC Performance Manager
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 BMCソフトウェアは,稼働中の情報システムの状況を監視するソフトである「PATROL」の新製品「BMC Performance Manager」を,2007年3月22日に出荷する。価格は61万1000円(税別)から。既存製品である「PATROL」と「PATROL Express」の販売は継続する。開発会社は米BMC Software。

 BMC Performance Managerは,監視対象サーバーにエージェントを導入する使い方と,エージェントを使わずに監視する使い方の両方を兼ね備えた運用監視ソフトである。エージェントを用いて監視する既存製品「PATROL」と,エージェントを用いずに監視する既存製品「PATROL Express」の後継製品に当たる。エージェント・ソフトは,既存製品であるPATROLと共通の仕様であり,共用可能である。

 また,同社が出荷中のITIL(IT Infrastructure Library)準拠のCMDB(Configuration Management Database)を用いたサービス・デスク製品「Remedy IT Service Management」と組み合わせれば,監視データを利用したインシデント管理が可能になる。2007年4月には,変更や性能の変化などのイベントがどう業務に影響を与えるかを把握するソフト「BMC Service Impact Manager」を国内で発表予定である。

 BMC Performance Managerは,これまでエージェントを用いて監視していた既存のPATROLユーザーからみれば,従来の監視に加えてエージェントを使わない監視も可能になる,というメリットがある。わざわざエージェント・ソフトを導入する必要を感じていなかった比較的重要ではないサーバー機まで監視対象に加えることができる。一方,PATROLとPATROL Expressを併用していたユーザーからみれば,すべての監視対象を単一の管理画面上で把握できるようになる。

 BMC Performance Managerのシステム・アーキテクチャは以下の通り。(1)監視対象サーバー機から監視データを収集するソフト「Remote Service Monitor」(RSM),(2)RSMからデータを受け取るWebポータル型の監視ソフト「BMC Performance Manager Portal」,(3)WebポータルにアクセスするWebブラウザ---の3つである。

 (1)RSMは,監視対象サーバーと通信して監視データを収集するソフトである。エージェントレスの監視では,Pingの発行やTelnet/sshログインを経由してのコマンド発行,SQLアクセス,WMI(Windows Management Instrumentation),SNMPエージェントと通信するSNMP(Simple Network Management Protocol)---など複数の手法で監視対象サーバーから直接データを収集する。エージェントを用いた監視では,あらかじめインストールしておいたエージェント・ソフトとの間で独自プロトコル(ポート番号318)を用いて通信し,データを収集する。RSMの稼働OSはWindowsである。

 (2)BMC Performance Manager Portalは,Webポータル型の運用監視ソフトである。オープン・ソースのJavaアプリケーション・サーバー・ソフト「JBoss」上に構築されている。パッケージには,ApacheやJBossのほか,データベース管理システムの「Oracle」がライセンス込みで含まれる。稼働OSはWindowsまたはSolarisである。ポータル・ソフトは,単一あるいは複数のRSMとの間で通信し,RSMが収集した監視データを受け取る。RSMとの間の通信プロトコルはHTTPSであるため,ファイアウォールを超えた運用が容易い。

 従来,エージェントレス型ソフトであるPATROL Expressでは,RSMに相当するデータ収集ソフトがなかったため,TelnetやWMIなどを用いて監視対象サーバーに直接データを取りにいくしかなかった。このため,ファイア・ウォールを超えた運用においてセキュリティ管理負荷がかかっていた。BMC Performance ManagerではHTTPSさえ使えればよいため,RSMを導入したWindows機を監視対象ネットワークごとに用意することで,セキュリティ管理負荷を低減できる。

 BMC Performance Managerの価格は以下の通り。Webポータル・ソフトのBMC Performance Manager Portalは,同時アクセス・ユーザーあたり61万1000円(税別)。監視対象サーバーにかかるライセンスは,エージェントの使用/不使用に関わらず,データベース・サーバーが1CPUあたり6万1000円(税別)から,Webアプリケーション・サーバーが1CPUあたり15万3000円(税別)から,各種サーバーが1CPUあたり3万1000円(税別)から。