米イーベイ系列のインターネット電話会社であるルクセンブルクのスカイプ・テクノロジーズは現地時間2007年3月14日、インターネット電話ソフトの新版「Skype 3.1 for Windows」日本語公式版の無償公開を始めた。同社Webサイトでダウンロードできる(発表資料、ダウンロードページ)。
新版は「SkypeFind」と呼ぶ新機能を備える。Skypeの全ユーザーが登録、参照、修正できる共用の電話帳データベースをスカイプ・テクノロジーズのサーバーに用意した。ユーザーはSkype 3.1から電話帳データベースに接続し、飲食店などの店舗情報を検索したり、掲載の電話番号にSkypeOut機能を使ってインターネット電話を掛けたりできる。また、「Wikipedia」などと同じ要領で、自分の知っている飲食店などの情報を新規掲載したり、必要に応じて他ユーザーの記述に加筆修正したりすることが可能だ。データベースへの書き込みや参照には、日本語も使用可能。利用料金は無料。
このほかSkype 3.1では、新サービス「Skype Prime」のベータ版の提供も始める。専門知識を持つSkypeユーザーの個人や法人が、ほかのSkypeユーザーに対し広く電話相談を受け付け、有償でアドバイスやサポートなどを提供するというもの。通話料は1通話当たりまたは1分当たりの体系で、アドバイス提供者が自由に設定できる。スカイプ・テクノロジーズが手数料として通話料の3割を受領する。アドバイス利用者はSkypeOutなどと同様に、前払いで通話料を支払っておき、Skype Primeの利用ごとに残額から減算されていく。アドバイス提供者は、米オンライン銀行のPayPal経由で通話料を受け取る仕組みだ。スカイプからアドバイス提供者への通話料支払いは通話の約4カ月後としているが、これは「通話内容や支払いに関するユーザー同士のトラブルを防ぐための措置」(スカイプ日本オフィス)としている。
Skype Pro、国内展開は難航
なお、スカイプ日本オフィスは、現在欧州で展開している、固定電話への定額制通話サービス「Skype Pro」の日本国内向け展開について見通しを明らかにした。「日本国内は固定電話事業者が課金する接続料が高く、欧州と同水準の価格帯でのサービス展開はできない。ただし、何らかの形で定額制通話サービスは提供したいと考えており、ある程度定額料を安くできるよう、ルクセンブルクの本社と検討を進めている」という。スカイプ・テクノロジーズは2007年1月18日に、SkypeOutへの1通話当たり4.9円の「接続料」を導入、実質的な通話料値上げに踏み切った。その代わりとして、月額一定料金で固定電話への音声通話が掛け放題となるSkype Proの構想を発表していた。欧州では同2月20日にSkype Proのサービスを開始しており、定額料は月額2ユーロとなっている。