Skypeは3月15日,Windows用IP電話ソフトウエアの新版「Skype 3.1 for Windows」を公開した。東京で開催された記者会見では,新機能の「SkypeFind」と「Skype Prime」のデモを実施。とくにSkype Primeは,英会話や技術コンサルティングなど,音声とビデオによる有償サービスを提供できるビジネス・プラットフォームとして開発した。Skype社の通話料以外の新たな収益モデルを打ち出した点で注目される。
Skype Primeは,専門知識や技能を持つSkypeユーザーが,ほかのユーザーに対してSkype経由で情報を提供するための仕組みと決済機能を備える。従来,英会話や技術サポート,コンサルティング,講演など,ユーザーのところに出かけて提供していたサービスを,オンラインかつ低コストで提供できるようになる。
サービス価格(情報提供料)は,サービス提供者側が自由に設定でき,1分単位または1通話単位で課金できる。ただし現段階で扱える通貨は,ドルあるいはユーロに限られる。Skypeはサービス料金から30%を手数料として徴収し,残額をサービス提供者のPayPalの口座へ入金する。サービス利用者は,通話料と同じようにSkypeクレジットから利用料を支払う。
「Skype Primeは,コンサルタントなどを開業しているSkypeユーザーからの強い要望を受けて実現した。私自身もフィリピン人の英会話教師のレッスンを週2回Skype上で受けているが,これまではチケット制だった。Skype Primeを使えばオンライン決済ができてとても便利だ」と,Skype社の岩田真一ゼネラル・マネジャーは語る。
ただし無形の「情報」を売買するサービスだけに様々なトラブルの発生が予想される。このためSkype社では「提供できる有料情報の種類」を制限している。すなわちポルノ,アダルト,暴力などの風俗情報のほか,医療,税金,法律といった高度に専門的な情報についても取り扱いを禁止している。
トラブルを回避するため,操作方法にも工夫がある。サービス利用者が提供者に電話をかけた時点だけでは課金されない。サービス内容を確認し,相手が信頼できる人物であるとわかった時点で,利用者は「承認」ボタンを押し,課金が始まる。また,通話履歴を見れば,サービスを利用した日時,提供者のアカウント,通話時間(回数),通話料が一覧できるようになっている。
「専門知識を持ったユーザーだけでなく,人気のブロガーなどがSkype Primeのタグをブログページに張り付けて,より深堀した知識を提供するといったサービスも考えられる」と岩田氏。アフィリエイトやアバターの次に来る新しいネットの収入源として注目が高まりそうだ。