インテージ IT企画グループチーフ・マネージャーの饗庭 忍氏
インテージ IT企画グループチーフ・マネージャーの饗庭 忍氏
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 東京・港区で3月13日に開催された「仮想化フォーラム2007」で,インテージ IT企画グループチーフ・マネージャーの饗庭 忍氏(写真)が講演,システムの仮想化によって「サーバーの迅速な導入や,サーバー資源の有効活用,統一的なバックアップや監視体制を実現できるようになった」と強調した。インテージはマーケティング・リサーチとシステム構築の両方を手がける会社である。

 仮想化技術の導入以前,インテージは300台弱のサーバーをデータ・センターで運用していた。しかし,サーバーの管理レベルやデータ保護・災害対策などがバラバラだったため,システムの安定性の低下や管理コストの増大を招いていた。

 一方,同社では2004年から仮想サーバー・ソフトウエア「VMware GSX Server」を利用し,仮想化技術の性能や有用性を確認していた。そこで,2006年1月からシステム仮想化の全社的な導入プロジェクトを開始,12月に完成させ実運用に入った。採用した仮想化技術は仮想サーバー・ソフトウエア「VMware ESX Server」と,ストレージの仮想化を実現するコントローラ機器「IBM SVC」である。

 講演で饗庭氏は,中でもストレージ仮想化の導入効果を説明。SVCを使えば異機種混合の仮想化が可能になるほか,「安価なストレージ製品でもSVCが提供する機能によって(本来そのストレージ製品が対応していない)高度な操作を行えるようになる」(饗庭氏)と解説した。

 ストレージ仮想化は「ILM」(Information Lifecycle Management)と呼ばれるデータの長期的な管理・保存でも効果的だという。例えば,頻繁に参照されないアーカイブ(長期保存用)のデータは安価なストレージ上に置くことでコスト削減を図れる。ストレージが仮想化されていれば,高価なストレージから安価なストレージへのデータ移行も容易であるという。

 現在,インテージはVMware ESX Serverが動く6台の物理サーバーを稼働させ,その上で20以上のVM(仮想マシン)を動かしている。仮想ストレージはSVCの配下に合計25Tバイトのディスクを接続中。

 VMは開発用サーバーや,高い性能を必要としない業務サーバー,ほかの物理サーバーで動く業務サーバーのバックアップ用サーバーなどの用途で利用中だ。同社ではすべてのサーバーを仮想化させるのではなく,必要に応じて物理サーバーを組み合わせている。

 仮想化システム順次拡張中。今後は「システムを仮想サーバーからスタートして物理サーバーへ移行するといったことを行いたい」としている。