経済産業省 横尾氏の講演より。デジタル家電がネットサービスを提供するためのプラットフォームになりつつあるという
経済産業省 横尾氏の講演より。デジタル家電がネットサービスを提供するためのプラットフォームになりつつあるという
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デジタル家電とパソコンで、今後はプラットホームの奪い合いになるだろうと予測
デジタル家電とパソコンで、今後はプラットホームの奪い合いになるだろうと予測
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 電子情報技術産業協会(JEITA)は2007年3月12日、薄型テレビや地上デジタル放送などデジタル家電の技術・市場動向を各分野の識者が語る「デジタル家電セミナー2007」を開催した。

 「デジタル家電を取り巻く諸課題」と題した講演で登壇したのは、経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器課 課長の横尾英博氏。デジタル放送の普及により、薄型テレビの市場は成長しつつある。その一方で複数の課題があると同氏は指摘する。例えば、テレビの製造メーカーにとっての「モジュール化の課題」。デジタルテレビは、デコーダーや画像補正ICといった基幹となるモジュール(部品)に分けて製造する。このモジュールを外部から調達するか、自社開発するかは、メーカーにとって戦略的に重要な判断事項であるという。

 デジタル家電はさまざまなネットサービスを提供するための土台(プラットフォーム)になりつつある。この「プラットフォーム化」においても課題があるという。インターネットへの接続機能を持ったテレビが登場し、2007年2月にはテレビ用のポータルサービス「アクトビラ」が開始となった(関連記事)。その一方で、パソコン側もテレビチューナーを搭載した機器が拡大しつつある。Windows Vistaの登場に合わせて、ソニーや富士通などが大画面のテレビに接続してさまざまなコンテンツを試聴できる新しい分野のパソコンを投入した。横尾氏はテレビとパソコンで「今後はプラットホームの奪い合いになるだろう」と指摘する。大画面テレビにパソコンが従属したものと考えるのか、テレビが単なるディスプレイとなるのか。進化が速いといわれるパソコンやITの分野において、メーカーがどこを儲かるネタと見極めるかが課題だという。

 このほかデジタル家電の課題として、地上デジタル放送へ消費者が円滑に移行するための方策が必要であること、ディスプレイパネルの低価格化への対応、デジタル家電製品の省エネルギー化やリサイクルに対する対策が必要であることなどを挙げた。