データベース・システムの設計・開発などを手がけるシステムエグゼは4月,Oracle Database用のデータベース監査ソフト「Audit Navi」を無償で提供開始する。アクアシステムズが開発し,システムエグゼが販売しているデータベース監査ソフト「Audit Master」の機能限定版にあたる。これまで,無償で利用できるデータベース監査ソフトはほとんどなかった。

 データベース監査ソフトとは,データベースのどのオブジェクトに「いつ」「誰が」「どのような」操作をしたのかというアクセス履歴を記録・分析するソフト。不正アクセスを検出して被害を未然に防いだり,情報漏えいが生じたときに犯人を追跡したりするために利用できる。Oracle Databaseをはじめとするデータベース管理システムは標準で監査機能を搭載しているが,設定の難易度が高いこと,分析・警告などの機能がないことから,実際に利用するのは困難だった。データベース監査ソフトは,データベース管理システムが標準で備える監査機能を補うものである。

 Audit Naviは,製品版であるAudit Masterと比べると,監査ログの保存先と設定可能な監査ポリシーに制限がある。Audit Masterは監査対象とは別のデータベース・サーバーに監査ログを生成できるが,Audit Naviでは監査対象のデータベース・サーバーにしか監査ログを生成できない。ログを読み書きする負荷が高くなると,データベース・サーバーのパフォーマンスに影響を与えかねないという弱点がある。

 また,Audit Masterは記録するアクセス内容を監査ポリシーとして細かく設定できるのに対して,Audit Naviは既定のポリシー・テンプレートの範囲でしか選択できない。具体的には,ログインの成功・失敗,表領域の選択(SELECT)・更新(UPDATE)・削除(DELETE)の操作,権限付与,データベース定義変更がテンプレートに含まれる。

 既にシステムエグゼは,ベータ版という位置づけで,3月からAudit Naviを顧客企業に提供している。4月には,ネットなどを通じて広く配布する。