総務省が「モバイルビジネス研究会」を2007年1月に立ち上げ,移動通信サービスやその周辺ビジネスを拡大するための対策を検討している。具体的には,携帯電話事業者が負担している販売奨励金(インセンティブ)の問題点や,ユーザーが契約する携帯電話事業者を変えると端末が使えなくなる「SIMロック」の問題点などが重要なテーマに位置付けられている。

日本では販売奨励金をベースとする端末の販売方法を採用することで,特に第3世代移動通信(3G)サービスの普及率が他国より飛躍的に高まった。しかしその半面,ユーザーが負担する利用料金が高止まりし,メーカーによる端末の開発コストの削減が大きな課題となっている。こうした業界全体の高コスト体質を是正するため,販売奨励金を使うビジネスモデルを見直すべきという声が強まっている。

これに対して携帯電話事業者や端末メーカーは,現行のビジネスモデルが変わることに対する懸念を研究会で表明した。その理由として,中古端末の流通が増えて新端末の普及ペースが鈍ることなどを挙げた。確かにこれまでは,短期間で機種変更を行うユーザーが多かったため新技術に対応する端末が普及しやすく,それが3Gサービスの技術的な進歩を助けた面もあった。今回の検討テーマを解決するには,3Gサービスの低コスト化をとるか,技術的な先進性を維持するかを選択する必要が出てきそうだ。