写真1 VMKNOPPIXの画面。VirtualBoxのオープンソース版を用いて,仮想マシンを作成したところ。
写真1 VMKNOPPIXの画面。VirtualBoxのオープンソース版を用いて,仮想マシンを作成したところ。
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 産業技術総合研究所(産総研)は2007年3月8日,複数の仮想化ソフトを実行できる,新しい種類のKNOPPIX「VMKNOPPIX」を公開した(写真1)。従来は,Xenなどを収録したKNOPPIXをXenoppixと称していたが,Xen以外に多数の仮想化ソフトを収録したためVMKNOPPIXと改称したもの。

 VMKNOPPIXの特徴は,現時点で使用可能なさまざまな仮想化ソフトを組み込んだこと。組み込んだものは次の通り。

 (1)ホストOSを必要とせず,ハイパーバイザを用いることで仮想化を実現する「Xen 3.0.4」,(2)同じくハイパーバイザを用いたLinuxカーネル組み込みの「KVM(Kernel-based Virtual Machine)」,(3)ホストOSを必要とするオープンソースの仮想化ソフト「VirtualBox」,(4)同様にホストOSを必要とするオープンソースの仮想化ソフト「QEMU」,(5)カーネル・モジュールkqemu.koによる高速化を利用したQEMU「KQEMU」,である。

 それぞれの仮想化ソフトを利用する際は,VMKNOPPIX起動時のブート・ローダー(GNU GRUB)のメニュー画面で選択する。また,これらの仮想化ソフトは,仮想化支援ハードウエア技術IntelVTとAMD-Vを利用可能だ。

仮想化ソフトのベンチマーク結果も公表

 産総研はVMKNOPPIXの公開と同時に,各仮想化ソフトを利用した場合のベンチマーク・テスト結果も公開した。テストに使用したベンチマーク・テスト・プログラムはVMKNOPPIX内に収録されている。πの計算では,実機で14.67秒を要する計算を,Xenでは14.68秒,VirutalBoxでは17.56秒,KVMでは17.9秒,QEMUでは24.87秒で実行できたとする(いずれも速度が最大になる条件下の数値)。

 ネットワーク性能では,実機で341.0Mバイト/秒であった帯域が,Xenでは283.1Mバイト/秒,VirutalBoxでは223.9Mバイト/秒,KVMでは206.1Mバイト/秒,QEMUでは36.20Mバイト/秒を確保できたという。

 VMKNOPPIXのCDイメージ(634Mバイト)は,産総研の紹介ページからダウンロードできる。

【修正履歴】本文中に『KVMとQEMUを併用した「KQEMU」』とあったのを,『カーネル・モジュールkqemu.koによる高速化を利用したQEMU「KQEMU」』に修正しました。(2007年3月9日)