写真 シンビアンの久晴彦社長
写真 シンビアンの久晴彦社長
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 英シンビアンの日本法人であるシンビアンは3月8日に記者説明会を開催し,同社の2006年第4四半期の業績と日本市場における戦略を説明した。シンビアンの久晴彦代表取締役社長は,「2006年11月に全世界でシンビアンOS搭載のスマートフォンが1億1000万台を超えた。1秒間に世界で2台出荷されている計算になる。日本は世界の20%を占めており日本の貢献度はかなり高い」と,世界市場における日本の重要性を強調した(写真)。

 3月8日現在,日本でシンビアンOSを搭載した機種は53機種に達している。久社長は,同社が主力とするNTTドコモのFOMA向けの2006年におけるベンダー・シェアを紹介。「シンビアンOSを使っているシャープ,富士通,ソニー・エリクソン,三菱電機の合計シェアは51%であり,Linuxを使っているパナソニック モバイルコミュニケーションズとNECの合計シェア44%を超えた」(同)と語り,日本の携帯電話向けOSとしてもシンビアンがトップシェアを握っている事実を紹介した。

 ただ日本では,まだシンビアンOSの開発者が少ないのも事実。その原因となっているのが,シンビアンOS向けの開発言語がC++中心である点だ。同社の山田貴久ディレクターテクニカルコンサルティングも「シンビアンOSのアプリケーション開発は確かに難しい」と認める。

 こうした課題を克服するためにシンビアンでは,2007年末までに広く開発者に利用されているC言語のコンポーネントを,シンビアンOS向けに提供する計画という。「これによって既存のUNIXやLinux向けアプリケーションなどをシンビアンOS向けに移植しやすくなる」(山田ディレクター)。例えばUNIX向けのインターネット・サーバー・ソフトであるApacheなどがシンビアンOS上で動く可能性も出てくるという。山田ディレクターは「Windowsで動いている企業向けソフトもシンビアンOS上に移植しやすくなるため,大きなインパクトがある」と語る。

 久社長は「シンビアンOSを搭載した携帯電話は全世界に広まっている。日本のソフトベンダーも,シンビアンOS向けアプリケーションを通して世界に進出してほしい」と付け加えた。