米Emotiv Systemsは米国時間3月7日,ゲーム業界向けに脳波でコントロールできるゲームを開発するためのキット「Emotiv Development Kit(EDK)」の提供を開始した。プレーヤの感情や思考によってキャラクタの表情をコントロールしたり,オブジェクトを操作できるゲームの開発が可能になるとしている。

 Emotivの技術は,脳波検査技術(EEG)による脳の電気的活動の観察を通じて,各人で異なる脳の活動パターンなどを含め,人間の意図的思考と感情の両方を読み取って処理する。従来の脳コンピュータ・インタフェースは,ユーザーが画面に集中している状態を検知するなど,限られた心理状態しか検出できない。しかし,Emotivの技術では,多数の表情,ジェスチャ,感情の処理が可能となり,オブジェクトを押す,または持ち上げるという思考を区別したり,興奮や冷静といった心理的状態を反映させられるようになったという。

 EDKにより,ゲーム開発者は,思考や感情をゲーム内の動きと関連付けることができる。例えば,プレーヤはゲーム内でキーボードやジョイスティックを使わずにオブジェクトを動かしたり,自分が笑顔を浮かべることでキャラクタが微笑むようになる。

 EDKは,ヘッドセットと脳の活動を検出するセンサー,アプリケーション開発スイートで構成される。開発スイートは,プレーヤの顔の表情をリアルタイムで識別する「Expressiv」,感情を読み取る「Affectiv」,意識的思考を読み取る「Cognitiv」を用意する。ヘッドセットと開発キットにより,プレーヤの表情を反映するキャラクタを作成したり,押す,引く,持ち上げる,回転させるなどの動きを考えるだけで,ゲーム内のオブジェクトを操作できるようになるという。

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