自治体規模が大きいほど、歳出に占める情報システム経費の割合は小さい――市町村の業務システムコストを調査した「業務システムの導入及び運用に要する経費等の調査」(総務省)の結果分析が発表された。3月6日、総務省の「電子自治体のシステム構築のあり方に関する検討会」の第12回会合で発表されたもの。
 
 まず、情報政策研究所の山口秀二委員が、市町村の規模別に分析した結果を発表した。それによると、歳出に占める業務システムの経費の割合については、どの自治体もおおむね1%以下に収まっており、町村では平均が0.562%、通常の市は0.468%、中核市は0.296%、政令指定都市は平均0.287%と、自治体の規模が大きくなるほど歳出に占める情報システム経費の割合が小さくなる傾向にあることが分かった。
 
 また開発形態は、どの規模でも「パッケージ等のカスタマイズ」が一番多かった。ただし町村では「パッケージをそのまま利用」するケースが多いのに対して、市になると「自己開発・自己運用」が増える傾向にあることと、政令指定都市になると逆に「自己開発・自己運用」は減り、事業者に開発を委託する「スクラッチ開発」が増えることが分かった。山口委員は「政令指定都市は資金的に余裕があるので、事業者に開発運用を任せるケースが増えるのでは」と分析している。
 
 続いて、摂南大学経営情報学部教授の島田達巳委員が、同氏が2006年に実施した電子自治体進展度調査で上位100位に入った「先進市区」とそれ以外の市区についての比較調査の分析結果を発表した。先進市区とその他市区の比較では、システム構築費用平均額は、先進市区が約3億7600万円、その他市区が約5100万円、運用保守費用では、前者が約2億4300万円、後者が約4000万円と、先進市区が積極的にシステム投資を実施していることが分かった。また開発形態では、先進市区では、自己開発と市販ソフト・パッケージを利用しない委託開発の自治体が、その他の市区に比べて合計10%近く多かった。業者の選定方法では、先進市区はその他の市区に比べて、競争入札が多く、特定の事業者が占める割合は小さかった。

 これらの結果は、検討会のWebサイトで公表される予定である。