事業者ごとの携帯電話契約の純増数推移(TCAの資料を基に日経パソコンが作成)
事業者ごとの携帯電話契約の純増数推移(TCAの資料を基に日経パソコンが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 電気通信事業者協会(TCA)は2007年3月7日、2007年2月末時点の携帯電話契約数を発表した。総契約数は対前月末比44万7100件増の9576万2300件。例年、2月は春商戦前の端境期となり純増数が低迷することが多いが、今回は2005年、2006年の実績を上回る純増数を記録した。事業者別では、このところ苦戦していたNTTドコモが5カ月ぶりに10万件超の純増を記録するなど復調している(発表資料)。

 NTTドコモは、対前月末比10万2200件増の5232万3100件となった。同社の純増数が10万件を超えたのは、2006年9月以来5カ月ぶり。同年10月の携帯電話番号ポータビリティー(MNP)制度開始以降では初めてである。同社では、2~3月の春商戦に向けてキャンペーンを始めている。具体的には、端末の販売奨励金(インセンティブ)を通常より積み増したり、広告出稿をこの時期に集中させたりといった施策を実施しており、ユーザーの喚起につながったと考えられる。加えて同社では、2月に13機種の新機種を発売している。低価格の第3世代携帯電話(3G)端末である「FOMA 703iシリーズ」を投入したことに加え、KDDIやソフトバンクモバイルに比べ訴求力が弱かったワンセグ端末も3機種を発売したことが、純増数回復に貢献している。ただし、純増数の比較では引き続きソフトバンクモバイルの後塵を拝している。

 KDDIは、対前月末比22万4400件増の2765万8300件。2006年8月以来、7カ月連続で純増数トップを記録している。ブランド別では、「au」ブランドは37万5000件の純増、「ツーカー」ブランドは15万600件の純減だった。「ワンセグ端末5機種を含め、春商戦向け新機種を2月に9機種発売したことがけん引している」(KDDI広報部)としている。

 ソフトバンクモバイルは、対前月末比12万400件増の1578万900件となった。2007年1月の16万4000件に引き続き、10万超と高水準の純増数を確保している。ただし、同社は2006年8月以来6カ月連続で純増数を伸ばすなどユーザー数の急拡大を見せていたが、今回は純増数の伸びが止まり一段落した格好だ。「例年2月は市場が落ち着く時期だが、今年は大幅に伸びた」(ソフトバンクモバイル広報部)という。1月に提供開始した新料金プラン「ホワイトプラン」が新規ユーザーを中心に好評だったほか、シャープ製のワンセグ端末「AQUOSケータイ 911SH」、きょう体色を20種類そろえた「812SH」などの引き合いが活発だった。

 なお、MNP制度を利用した同番移行による転出入は、NTTドコモが7万4200件の転出超、KDDIが9万4700件の転入超(うちauが9万9600件の転入超、ツーカーは転出のみで4900件)、ソフトバンクモバイルが2万600件の転出超(転入は5万7900件、転出は7万8500件)だった。

 PHS事業者のウィルコムは、3万1900件増の439万2000件であった。

 3月は例年、春商戦の最盛期となり各社とも端末の販売台数が年間で最も多くなる。また31日には新規参入事業者のイー・モバイルが東名阪の各中心部で商用サービスを始める。MNP制度の開始後初の春商戦ということもあり、動向が注目される。