米Microsoftの著作権/商標/トレード・シークレット担当顧問弁護士であるThomas C. Rubin氏は米国時間3月6日,米国出版者協会(AAP:Association of American Publishers)の年次総会で「Searching for Principles:Online Services and Intellectual Property」(原則を探して:オンライン・サービスと知的財産)と題するスピーチにおいて,米Googleの書籍検索サービス「Google Book Search」(ベータ版)などを著作権侵害として批判する。Microsoftが3月5日に明らかにしたもの。

 Rubin氏は,デジタル化されたコンテンツの著作権保護と知的財産権の重要な問題に対するMicrosoftの姿勢を述べる。スピーチのなかで,同氏は「著作権所有者の権利を侵害することなく,オンライン・コンテンツを消費者に提供するというMicrosoftの考え」(Microsoft)の概要を話す。ただし,スピーチのかなりの部分をGoogleによる著作権侵害の批判に充てる。

 Rubin氏によると,「GoogleはGoogle Book Searchの目標を達成するため,複数の図書館を説き伏せ,著作権付きおよびパブリック・ドメインの全蔵書を自由に閲覧できるようにした。出版社のなかには,著作権付き書籍の権利提供に合意したところもある」という。「ところがGoogleは奇抜なフェア・ユース(公正利用)の理論をでっち上げ,出版社との合意で対象外だった著作権付き書籍についても,著作権所有者の許可を得ることなく丸ごとコピーする権利があると,一方的に解釈した」(同氏)。

 こうしたGoogleの戦略について,Rubin氏は「他社よりも多くの書籍を,迅速かつ安価にオンライン検索できるようになることは確実で,短期的にはGoogleと同社のユーザーのメリットになるだろう」とする。ところが同氏は,長期的なコストに問題があるとしている。「長期的にみると,Googleは誤った道を選んだ。というのも,著作権を侵害すると同時に,作品を収入に変える大切な手段を著者や出版社から奪っているからだ。その結果,制作意欲が低下してしまう」(同氏)。

 さらにRubin氏は,Googleが買収した動画投稿サイト「YouTube」で著作権保護に向けた対策をとらないことや,海賊版ソフトウエアや音楽/映画コンテンツに関するキーワードで広告を掲載する行為についても批判する。

 なおAAPは,Googleの活動が著作権侵害にあたるとして訴訟を起こした(関連記事)。Googleは一時的に作業を中断していたが,その後再開している。

[Rubin氏のスピーチ原稿]
[Microsoftの発表]