マイクロソフトの代表執行役 兼 COOに就任した樋口泰行氏
マイクロソフトの代表執行役 兼 COOに就任した樋口泰行氏
[画像のクリックで拡大表示]
ダレン・ヒューストン社長
ダレン・ヒューストン社長
[画像のクリックで拡大表示]

 「マイクロソフトは元々、消費者向け製品の販売からスタートした会社。企業に信頼してもらえる会社になり、企業向けビジネスを拡大するには、過去の成功体験をひきずらずに、顧客やパートナーとの関係を築くことが必要だ」。3月5日、マイクロソフトの代表執行役 兼 COO(最高執行責任者)に就任した樋口泰行氏(写真1)は、就任会見でこう述べた。外から見たマイクロソフトの課題をどう見るかという質問に答えたものだ。

 今後マイクロソフトは、ダレン・ヒューストン社長(写真2)と樋口COOの2頭体制を敷く。ヒューストン社長は家庭向けWindows VistaやOffice、ゲーム機やオンライン・サービスなどのコンシューマ向け事業全般を統括。樋口COOは企業向け事業全般を統括する。

 ヒューストン社長は、樋口氏のCOO就任と自身との役割分担についてこう述べた。「マイクロソフトの事業規模は拡大を続け、内容も複雑になってきている。私一人では、運営するのが難しくなりつつある。樋口氏が加わることで、私はコンシューマ向け事業に専心できる。樋口氏の多角的な経験が、マイクロソフトの企業向けビジネスをさらに強化してくれると確信している」。

 今後について、ヒューストン社長は「ゆくゆくは私の後任に就いてもらうことも考えられる。それを含めた、今回の採用だ」と述べ、樋口氏のCOO就任が、次期社長含みであることを認めた。時期については、「私は来年度(2007年7月~2008年6月)も現在の職務を続ける。樋口氏がマイクロソフトのビジネスに慣れるよう、支援するつもりだ」と述べた。

 樋口氏は2006年末にヒューストン社長と面談。2007年2月には、米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOやケビン・ターナーCOOと面談して、入社を決意したという。「個人的な気持ちとしては、もう少しのんびりしていたかった。今回の出会いがなければ、もう少しブラブラしていたかもしれない」(樋口COO)。

 今後は、まず日本法人の経営幹部と個別に面談して、事業の現状や課題の把握に努めるという。「今はまだハネムーン期間のようなもの。新婚旅行が終われば、すぐに厳しい現実が待っている」。樋口氏は、こう気を引き締めた。