マイクロソフト代表執行役兼COO(Chief Operating Officer)に就任した樋口泰行氏
マイクロソフト代表執行役兼COO(Chief Operating Officer)に就任した樋口泰行氏
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 マイクロソフトは3月5日,樋口泰行前ダイエー社長がマイクロソフト日本法人の代表執行役兼COO(Chief Operating Officer)に就任したと発表した。樋口氏は記者会見で「マイクロソフトは『顔が見えにくい』と言われている。より信頼される会社になるように,会社としての『人間力』を高めたい」と語った。

 樋口氏はCOOとして,マイクロソフト日本法人の法人向け(企業向け,公共機関向け)ビジネスを統括する。ダレン・ヒューストン社長兼CEOは,消費者向けビジネスに専念する。ヒューストン社長は樋口氏の役割について,「COOの教科書的定義は,『CEOに次ぐ2番目の職位』『オペレーション(業務)の大半を管理する』というものだが,樋口氏の役割はまさにこの定義の通りだ」説明している。またヒューストン社長は「私がすぐに退任して,樋口氏が社長に就任するわけではない。ただし,樋口氏はCEOレベルでの経験も豊富なので,後継も考えたCOO就任ではある」と述べている。

 樋口氏はダイエー社長退任後の就職先としてマイクロソフトを選んだ理由について「すばらしい経営者がいること」を挙げる。「日本法人のダレン・ヒューストン社長も優れた経営者だが,Microsoft本社のスティーブ・バルマーCEOやケビン・ターナーCOOに会って,かなり驚いた。Microsoftの経営者であれば,さぞかし強気一辺倒で,少し傲慢なところもあるかと思っていたけれども,これだけ成功しているにもかかわらず,慢心しているところが全くなかった。むしろ,常に変化や進化をしていかないと生き残っていけないという危機感すらあった。経営者とはこうあるべきだと思い,自分としても勉強できるかもしれないと感じた」(樋口氏)。

 樋口氏は法人向けビジネスを担当することについて,「自分は,ハードウエア・メーカー(松下電器産業やアップル日本法人)にもいたし,システム・インテグレータ(日本ヒューレット・パッカード社長)にもいた。さらにダイエーで,ユーザー企業の立場も経験した。IT企業は,自分たちの都合で技術を押し付ける傾向がある。顧客サイドを経験して,それぞれの産業や会社ごとに戦略があり,ITはその戦略を実現するために存在するということを肌で感じた。こういった経験を,マイクロソフトの法人ビジネスに役立てたい」と語っている。