笹本裕オンラインサービス事業部 執行役 事業部長
笹本裕オンラインサービス事業部 執行役 事業部長
[画像のクリックで拡大表示]
マスを狙うMSN、Windows Liveでロングテールをカバー
マスを狙うMSN、Windows Liveでロングテールをカバー
[画像のクリックで拡大表示]
マイクロソフトのソフトウエア資産全体を活用した広告ソリューションを展開
マイクロソフトのソフトウエア資産全体を活用した広告ソリューションを展開
[画像のクリックで拡大表示]
オンラインサービス事業部 MSNメディアネットワーク エグゼクティブプロデューサーのの儲俊祥氏
オンラインサービス事業部 MSNメディアネットワーク エグゼクティブプロデューサーのの儲俊祥氏
[画像のクリックで拡大表示]

 マイクロソフトは2007年3月2日、オンラインサービス事業についての記者説明会を開催した。同社オンラインサービス事業部は、ポータルサイト「MSN」と、インターネット検索やメール、メッセンジャーなどを提供する「Windows Live」の大きく二つのブランドを手がける。今後はMSNを「メディアポータル」、Windows Liveを「ソフトウエアプラットフォームポータル」と位置づけ、それぞれを強化する。また、コンテンツを活用した広告ビジネスに、国内でも本格的に取り組む。

 説明会で登壇したのは、2007年2月1日付でオンラインサービス事業部の事業部長に就任した笹本裕氏。同氏はリクルートの「ISIZE」事業や現「アスクユー・レストランガイド」の立ち上げに携わったあと、MTVジャパンに入社し社長を務めるなど、コンテンツビジネスの豊富な経験を持つ。笹本氏によれば、MSNとWindows Liveは、「2つを足すのでなく、掛け合わせる」ことにより、さらなるビジネスの拡大を目指すという。

 まずMSNはコンテンツを充実させ、間口が広く集客力の高いポータルに育てる。この事業は、MSNメディアネットワーク エグゼクティブプロデューサーの儲俊祥氏が担当する。この役職は、日本に限らずマイクロソフトが全世界的の組織で一斉に用意したもので、いずれもコンテンツビジネスの専門家が配置されたという。これは「マイクロソフトが本格的に広告ビジネスをやるという宣言」(笹本氏)でもある。儲氏は、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント傘下のAXNジャパンで社長を務め、2007年2月1日付でマイクロソフトの同役職に就任した。

 日本は、権利関係などの問題から、テレビ番組などの有力なコンテンツをオンライン化しにくい環境にあるが「共同制作なり、購入するなりしてコンテンツの増加を図る。またMSNのグローバルなネットワークによる資金力を生かしたコンテンツ開発を行う」(儲氏)。例えば2007年夏に実施予定の地球環境保護を目的としたコンサート「Live Earth」の映像配信などを予定。日本でも何らかのキャンペーンを実施する計画だ。

 一方のWindows Liveは、いわゆる「ロングテール」に該当する部分を担う事業。それぞれのユーザーが求める情報を的確に提示するため、カスタマイズ性をさらに高める計画だ。

 難しいのが、いかにこの2つを融合させ、新たな価値を生み出していくかという点。このテーマについて明確な解は示されなかったが、笹本氏は、米国のMSNにおけるアカデミー賞のコンテンツにおける融合の例を紹介した。俳優にマウスを重ねるとシステム側で自動的に検索を実行し、その俳優に関する情報をポップアップで表示するという機能だ。「このように、検索の使い方を変えることで新しい表現が可能になる。新しいメディアを作る実験をしてきたい」(笹本氏)。

 広告面では、コンテンツや検索サービスだけでなく、マイクロソフトが持つソフトウエア資産全体を活用していく考えも示した。好例が、Officeのクリップアートなどをダウンロードできるサイト「Office Online」への広告配信。Office Onlineを利用するユーザーはほとんどがビジネスユーザーなので、彼らをターゲットにした広告配信が可能になる。また「これまでは販売促進のための広告が多かったが、これからはブランディングにインターネット広告が活用されるようになる」(笹本氏)。既に米国では日産自動車と共同で、Windows VistaやXbox Liveなど、同社のさまざまな製品を活用した広告を実施している。こうした多分野での広告展開を、国内でも実施していく構えだ。