ワンクリック詐欺(ワンクリック不正請求)の相談件数の推移(IPAの発表資料から引用)
ワンクリック詐欺(ワンクリック不正請求)の相談件数の推移(IPAの発表資料から引用)
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 セキュリティに関する相談や被害届けを受け付ける情報処理推進機構(IPA)は2007年3月2日、2月中の届け出状況を集計して発表した。それによると、ワンクリック詐欺(ワンクリック不正請求)に関する相談は過去最多の287件だったという。IPAには、「ある芸能人の情報を探していたら、知らないうちに詐欺サイトに誘導された」といった相談が寄せられている。

 ワンクリック詐欺とは、インターネットを悪用するオンライン詐欺の一種。Webサイトに置かれた画像やアイコン、リンクなどをユーザーがクリックしただけで有料サイトに登録したとみなし、払う必要のない料金を請求する詐欺のこと。

 IPAには、「登録したつもりはないのに料金請求の画面が表示された。払わなくてはいけないのか」といった、ワンクリック詐欺に関する相談が毎月寄せられている。相談件数は2005年終わりごろから増加傾向にあり、2007年2月は過去最多の287件だったという(図)。

 ワンクリック詐欺サイトのほとんどはアダルトサイト。「アダルト画像や動画が無料で見られる」などと書かれたリンクやアイコンをクリックすると、料金請求の画面が表示される。

 詐欺サイトへの誘導には、「アダルトコンテンツをタダで閲覧できます」などと記述された迷惑メール(スパム)が使われるケースが多かったが、最近では、アダルト以外の掲示板やブログサイトなどから誘導されているケースも増えている。IPAによれば、2月中の相談件数のおよそ3割は、アダルト以外のサイトから誘導されていたという。

 IPAでは、ある芸能人の情報が掲載されたブログサイトが、詐欺サイトの“入り口”になった事例を紹介している。相談を寄せたユーザーは、検索サイトを利用して、ある芸能人の情報が掲載されているサイトを探していた。すると、その芸能人のファンが作ったと思われるブログサイトを発見。アクセスすると、サイトにはその芸能人の画像が掲載されていた。そして、同じページに書かれた「もっと見たい方はこちら」というリンクをクリックしたら、アダルトサイト(ワンクリック詐欺サイト)に誘導されたという。

 ここで引き返せば(Webブラウザーを閉じれば)問題はないのだが、このユーザーは好奇心に駆られて、「無料動画」などと書かれていたリンクをクリック。その後表示された「年齢認証」や「入会規約」のダイアログでも「OK」ボタンをクリックしたら、サイトの利用料金を請求する画面が表示された。

 IPAではこういった相談が増えているとして、アダルトサイトにアクセスすることがないユーザーでも「油断は禁物」と警告している。加えて、アダルトサイトなどにいきなりジャンプした場合には、興味本位でその先に進まない(リンクなどをクリックしない)よう注意を呼びかけている。