欧州連合(EU)の独占禁止法当局である欧州委員会(EC)は,独占禁止法違反行為に対する和解条件の履行が不十分として米Microsoftに異議声明(Statement of Objections)を送った。ECがベルギーで現地時間3月1日に明らかにしたもの。和解条件の対象である情報開示の義務を果たしていないとの見解だ。

 ECは2004年3月に,是正措置の一環として同社に対し,競合他社の製品がWindows搭載パソコンやサーバー上で完全な互換性を確保できるようWindowsのインタフェース情報を120日以内に開示することなどを命じた。

 MicrosoftはECの命令に従って技術文書を提出してきたが,ECは文書の内容やMicrosoftの対応が不十分であることなどを理由に2006年7月,総額2億8050万ユーロ(約3億5600万ドル)の制裁金を科すと決めた(関連記事)。Microsoftはその後改訂を繰り返し,11月23日に文書提出を完了した(関連記事)。

 EC競争政策担当のNeelie Kroes氏によれば,Microsoftは「(互換性を実現する)プロトコルのライセンス料は,その技術が革新的であるかどうかを基準にする」ことに同意しているという。しかしECは「これらプロトコルに大きな革新性は見られない」との予備的見解を示した。「Microsoftに是正命令を遵守させるために,再び正式な対策をとらざるを得ない」(同氏)。

 ECの通告を受け,Microsoftは反論の声明を同日発表している。「当社はECの是正命令に従うために3年の歳月と数百万ドルを費やした。当社が提示したライセンス料は公正であると確信しており,米PricewaterhouseCoopersの分析では競合技術の相場より30%安いとの報告だ」(Microsoft上級副社長兼法務顧問のBrad Smith氏)。

 なお,MicrosoftにはECの異議声明に対応するために4週間の猶予が与えられている。

[発表資料(EC)]
[発表資料(Microsoft)]