総務省は3月1日,2.5GHz帯を利用した固定無線システム(FWA)の技術的条件を議論する「広帯域移動無線アクセスシステム委員会」の第6回会合を開催した。同委員会では作業班を設置し,高利得FWAシステムを導入するための技術条件や,同一チャネルを異なる事業者が共用する場合の条件などを議論している。

 今回は作業班による検討状況の報告を受けた。作業班ではFWAの用途として以下の3種類を想定して検討を進めている。(1)宅内に指向性アンテナを設置するブロードバンド・サービス,(2)宅外に高利得アンテナを設置するブロードバンド・サービス,(3)固定回線を引き込みにくい地域などにおけるバックボーンへの中継回線である。FWA用途で対象とする通信方式はモバイルWiMAX(IEEE 802.16e-2005)と次世代PHSだけ。モバイル用途で対象となっていたIEEE 802.20(MBTDD-Wideband)とIEEE 802.20(MBTDD-625k MC)は「希望する通信事業者がいなかったほか,もともとFWA用途を想定していないので外れた」(総務省)。

 これらの用途を踏まえた上で,モバイル用の基地局とFWA用の加入者局,FWA用の加入者局と隣接する衛星システム(NTTドコモの「N-Star」とモバイル放送の「モバHO!」)の干渉などを調査,技術条件を検討している。現在,作業班の配下で臨時会合を集中的に開催して検討しており,3月15日の作業班会合で一気にとりまとめる予定。3月下旬には委員会の報告案をまとめてパブリック・コメントにかけ,4月26日の情報通信審議会で一部答申を得るという強行スケジュールで進めていく。