富士通は3月1日、Windows VistaとInternet Explorer 7(IE7)の社内利用を解禁した。社内システムの動作確認のため、2006年11月27日からグループ社員10万人を対象にVistaやIE7の社内利用を禁止していたが、約400あるシステムの検証が2月半ばに終了したため、利用を許可することにした。

 Windows Vistaは、標準搭載する文字セットが変更になるほか、セキュリティモデルの変更などから、旧OS上で稼働しているアプリケーションがそのまま動作しない可能性があった。また、Vistaが標準搭載するIE7についても、スタイルシートの変更や新文字セットの字形変更への対応、拡大表示といったIE7の新機能への対応がシステム側で必要になる。

 富士通の社内システムを統括するコーポレートIT推進本部長の花岡和彦 経営執行役は、「社員がVistaやIE7を使って業務をしようとしたときに、アプリケーションが使えず業務に支障が出るのは問題だ。まず一時的に全面使用禁止としたうえで、早急に内部的に検証を進めた」と話す。「当初は3月まで検証期間を取っていたが、検証作業が予想以上に早く進んだため、3月1日をもって一時禁止を解除した」(花岡経営執行役)。

 同社は06年11月10日に、VistaとIE7対応を進めるため社内組織「Vista対応室」を設置。Vista検証用のノートパソコンを500台用意して、Vistaをインストールしたうえで、社内検証用に100台、顧客対応のSEに400台を配布した。社内システムについては、「Vistaの環境が整った12月半ばから、400ある全システムの検証を開始した」(花岡経営執行役)。利用できるアプリケーション、利用できないもの、制限付きで利用できるならどんな制限があるかを一つひとつ洗い出していった。その過程で、現在使用しているVPNクライアントが動作しないほか、メインフレームの端末エミュレータがVistaに対応するのは4月になるなどの事実が明らかになった。これら一連の検証結果と、各システムごとの対処方法は、リストに整理して2月末に社内ポータルから参照できるようにした。

 Vistaで新規搭載した文字セットについても検証を終えた。花岡執行役によると、「意図した文字が表示されないなど細かな問題があるが、新規追加文字を使わなければ問題は起きないし、システムによっては警告を出して入力できないようにするなどの措置をとった。また、社員が新規追加文字を使ったとしても、システムが止まるなどの大きな問題は一切起きない」という。2月後半には、Vista搭載パソコンで、新規追加文字を利用しないようにする方法もマニュアルにまとめ、社内ポータルに公開した。

 富士通が急ピッチでVista対応を進めた背景には、Window Vistaが問題なく業務利用できることを自らのシステムで確認し、企業向けVista搭載パソコンの販売てこ入れにつなげたい考えもあったようだ。なお、富士通は自社の日本語サイトについては、06年12月25日時点で対応を完了している。