パイオニアが発売するスピーカーシステム。左から、音声信号をPLC搬送波として変換する「サウンドステーション」、リモコンによる遠隔操作が可能な「ネットワークスピーカーL」、赤外線センサーを備える「ネットワークスピーカーS」
パイオニアが発売するスピーカーシステム。左から、音声信号をPLC搬送波として変換する「サウンドステーション」、リモコンによる遠隔操作が可能な「ネットワークスピーカーL」、赤外線センサーを備える「ネットワークスピーカーS」
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パイオニア ホームエンタテインメントビジネスグループ 事業企画部 AV企画部 システム企画課の一楽淳史氏
パイオニア ホームエンタテインメントビジネスグループ 事業企画部 AV企画部 システム企画課の一楽淳史氏
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 パイオニアは2007年2月28日、音声信号の伝送に電力線通信(PLC)技術を用いたスピーカーシステム「music tap XP-PSS01」を3月下旬に発売すると発表した。スピーカーケーブルの配線を不要としたほか、家庭内の任意の部屋にスピーカーだけを設置して音楽を聴くことが可能。また、スピーカーに赤外線センサーを備えており、人が近づいたときだけ音楽を鳴らすことができる。価格はオープン。想定実勢価格は約6万8000円(発表資料製品情報)。

 今回の製品は、音源を入力してPLCの搬送波として出力する「サウンドステーション」、および「ネットワークスピーカーL」「同S」各1台から成る。サウンドステーションにはUSB×2、音声(RCAピン)×2、同(ステレオミニ)の各入力端子を備える。コンポやラジカセといった音響機器のほか、パソコン、iPod、USBマスストレージクラス準拠の携帯音楽プレーヤーやHDDなどを接続し、著作権保護の掛かっていないMP3/WMA/AACの各形式の音楽ファイルを読み込むことが可能。サウンドステーションからスピーカーへ、PLC経由で音楽データを伝送し出力できる。同時に2系統の音楽データを出力可能で、個々のスピーカーでどちらの音楽データを流すか設定できる。

 このほか、ネットワークスピーカーSの前面には赤外線センサーを備えており、人が近づいたときだけ音楽を出力するよう設定する機能を持つ。ネットワークスピーカーLはリモコンが付属しており、音源がUSB接続の携帯音楽プレーヤーなどであれば、早送りや巻き戻しといった操作がPLC経由で可能である。

 オプションとして、iPod専用のクレードル(台座)である「IDK-01」(想定実勢価格は約1万4000円)も提供する。同製品を使うと、リモコンによるiPodの遠隔操作が可能になるほか、サウンドステーションの電源オン/オフやタイマー機能と連動させてiPodの電源を制御できる。また、追加用としてネットワークスピーカーLと同Sの単品販売も実施する。想定実勢価格は順に、約2万7000円、約1万9000円。1台のサウンドステーションに対し、最大6台のスピーカーを使用可能。

 同社では今回の製品を、20代後半~30代で夫婦2人暮らしのいわゆるDINKS向けとして展開する。「当社の調査で、DINKSの女性は家事や読書をしながら音楽を聴いていることが分かり、配線の手間なく複数の部屋にスピーカーを置けるという製品コンセプトにも強く反応した。価格は高いものの、可処分所得の多いDINKSに対しては訴求できると考えている」(パイオニア ホームエンタテインメントビジネスグループ 事業企画部 AV企画部 システム企画課の一楽淳史氏)。同社では今回の製品の出荷台数を数千台と控えめに見積もっているが、「今回の製品への反応を踏まえ、今後のラインアップ拡充も考えていきたい」(一楽氏)としている。

 PLCの信号伝送部については「動的マルチキャリア再配置(DMCR)方式のPLCモジュールを組み込むことで実現した」(一楽氏)としており、三菱マテリアル製のオーディオ機器向けPLCモジュールを採用したものとみられる。