米国証券取引委員会(SEC)は2月26日(米国時間),米Symantecや米RealNetworksなど米国企業12社の社内ネットワークに不正アクセスして未公開情報を盗み出し,その情報を基に株式市場で不正に利益を上げた香港企業などを告訴した。不正に上げた利益の総額は270万ドル以上に及ぶ。

 告訴されたのは,香港のBlue Bottle社と,英領ガーンジー島のMatthew Charles Stokesという人物。Blue Bottleなどは,コンピュータ・ネットワークをハッキングするなどして,米国企業12社から未公開情報を盗み出したという。

 SECのプレスリリースでは,Symantecが不正アクセスの被害にあった事例を詳しく説明している。それによると,Blue BottleなどはSymantecの社内ネットワークに不正アクセスするなどして,業績予測の下方修正情報を発表前に盗み出した。その上で2007年1月12日に,2度にわたってSymantec株のプットオプション(満期日までの期間内にあらかじめ定められた権利行使価格で売る権利)を大量に購入した。

 プットオプションの満期日は1月20日だったが,1月16日にSymantecが業績予測の下方修正を発表したため,Symantecの株式が大幅に下落し,Blue Bottleなどは103万ドルの利益を不正に上げたという。なお,1月12日にBlue Bottleなどが購入したプットオプションの数量は,同日のSymantec株式の取引数の6割以上に達した。

 不正アクセスの被害を受けた12社は,以下の通りである。米AllianceBernstein Holding,米Allscripts Healthcare Solutions,米Achillion Pharmaceuticals,米BJ's Wholesale Club,米Brady,米CACI International,米Hornbeck Offshore Services,米LeCroy,米Millipore,米Odyssey Healthcare,米Symantec,米RealNetworks。